Monday 31 July 2023

ミッション・インポッシブルのロケ地

ミッション・インポッシブルの新作を観に行った。相変わらず迫力満点で、ドキドキハラハラの2時間半だった。

今回楽しみにしていたのは、崖からバイクで飛び降りるシーンである。その制作を綴るドキュメンタリーを事前に見ていたので、カラクリを確かめるように見た。

 場所はノルウェー、岩の上にジャンプ台を作り一年かけて準備に取り組んだ。スカイダイビングの練習は1日30回、全部で500回を繰り返し、モトクロスのジャンプは13000回も飛んだという。そのため本番の撮影は一回で成功したようだ。撮影セットも凄かったし、正に映画史上最大のスタントで、トム・クルーズ本人は大した役者だ。

ところで後半に列車シーンが出て来る。表向きはオリエント・エクスプレスだが、撮影場所はやはりノルウェーだった。どうやってあの危ないシーンを撮影したか分からないが、岩山と渓谷から繰り広げられる景色は美しかった。

因みにサブタイトルはDead Reckoning:Part Oneである。意味は死の報いかと思ったら、不安定な測定から転じた「推測航法」という。それが謎の鍵を指すのか、沈んだ潜水艦を指すのかよく分からなかったが、パート1というからパート2もあるのだろう。次が楽しみだ。

Thursday 27 July 2023

UFO目撃者を消せ

昨日米下院でUFO(未確認飛行物体)の公聴会が開かれ、元パイロットが今までUFOを見たにも拘らず、国は隠ぺいしたと証言した。今ではUFOとは云わず、UAP(未確認航空現象)と呼んでいた。 

UFOについては昔から多くの目撃情報が寄せられたが、中々公表には至っていない。1992年に出版されたシドニー・シェルダンの「The Doomsday Conspiracy(陰謀の日)」でも、その隠匿の様子が描かれていた。

舞台はスイス、観光バスが通りかかると合金の物体の中に宇宙人らしき生物が死んでいた。彼らは珍しがって写真を撮りその場を去るが、米国の情報局がその事を知り、目撃者の抹殺を始めるのであった。

バスに乗り合わせたのは世界から来た観光客で、特定が難しかったがプロを雇って割り出しに成功した。 未だにどうしてそこ迄しなくてはならないのか?素人には分かり難いが、社会の混乱を引き起こさない為と説明していた。

物語が面白いのは、世界に散らばった目撃者の発見方法である。そのテクニックこそ作者の骨頂であったが、言葉巧みで中々日本人には真似出来ない。また最後はプロも命を狙われるのだが、ナポリの娼婦を使って捜査を攪乱する件が何とも知恵に富んでいた。逃走ルートのナポリ→カプリ→ソレント→マルセイユも、地中海の風光明媚な場所だけに読者も一緒に旅をしているような気分になった。

Wednesday 26 July 2023

イラク人恐怖の里帰り

今から40年程前になるが、フィリッピンのアキノ氏が帰国すると、空港で射殺される事件があった。ロシアでも昨年、野党の指導者ナワリヌイ氏が帰国すると、毒殺未遂事件が起きた。どちらも身の危険を冒してまでも帰国する理由があったのだろうが、リスクは大きかった。

そんな大物でなくても、今ロシアから脱出している人々も同じである。既に100万人を超えたと云うが、将来帰国すると何が待っているか分からない。 

心配するきっかけは、ジェフリー・アーチャーの短編集「12のごまかし(Twelve Red Herrings)」の中に出て来る「何もするな(Do Not Pass Go)」という短編であった。

 それはフセイン政権下で体制派だった男の話である。彼は身の危険を察してアメリカに亡命した。暫くして彼は絨毯の商売を始め、時々トルコに買い付けに出かけるのであった。処がある時、イスタンブールからの飛行機がエンジントラブルでバグダットに緊急着陸してしまう。もしも身元がバレれば男は逮捕、拷問、処刑が待っている事を機長に告げる。機長は機転を効かし、男にパイロットの制服を着せ難を逃れるのであった。

 当人でなければ分からない恐怖感が伝わってきて面白かった。因みにタイトルの「赤いニシン」の意味は犬の訓練用の魚から転じて「ごまかし」の意味という。これを機会に覚えたが、他にも女が宝石を半値で買う方法や、保険金詐欺の話など英国人らしい一冊だった。

Monday 24 July 2023

ヘミングウェイ祭り

今月の18日、フロリダのキーウェストでヘミングウェイ祭りが開かれた。ヘミングウェイそっくりさんが集まり、彼の好んだスペインの牛追いに興じていた。没後60年以上も経つが、未だに彼の人気は高い。冒険家でロマン多きダイナミックな人生に、共感している人が多いせいだろうか?少なからず私もその一人で、作品に彼の実体験を重ねている。

旅をしていると彼の作品の舞台によく遭遇する。例えばスロベニアを旅した時、ゴリッツァというイタリア国境の山岳地帯を訪れた時、そこは「武器よさらば」の舞台だった。第一次大戦で従軍した彼が、恋人を慕って逃亡する物語である。今でも激戦が長く続いた塹壕が残っていて、若きヘミングウェイとバッタリ会うような気になった。

 第二次大戦の従軍記者としてパリに入った話も有名である。喉が渇いて最初に駆け付けたのはリッツホテルであった。以来そのバーは彼の名前を冠している。パリではココシャネルやルートヴィッフィと華麗な社交があったり、最初の結婚生活を送った地でもあった。暫くして結婚は破綻するが、その悪夢が「キリマンジェロの雪」に出て来る。 

 ケニアの大地で破傷風になった時、いつ来るとも分からない迎えの飛行機を待ちながら、走馬灯のような人生が脳裏を彷徨うのであった。彼は4回結婚したので三人の妻と別れた。死の床に就くと「ヒトは別ればかりを思い出すのか!」と、以来複雑な気持ちになっている。 

「誰がために鐘が鳴る」の舞台になったセゴビアにも行った。ただその時なそこが小説の舞台になったとは知らなかったので、橋を観る事はなかったのは心残りだ。

Tuesday 18 July 2023

「波浮の港」の遊郭

ヨーロッパの島は魅力的である。歴史と文化がグッと詰まっているからだ。そんなノリで、東京都の旅割もあって大島に行ってみた。本当は御蔵島に行きたかった。昔流行った「海の若大将」の舞台であったが少し遠いし、初めての伊豆諸島だから近場から攻めてみた。

 快速フェリーの乗ると昼過ぎに着いた。この船もボーイング製だった。早速予約してあったレンタカーで島を周った。ところが半日で殆どを走破してしまい、明日以降やる事がなくなってしまった。

行く前にテニス仲間のKさんと話していると、「昔友達と行ったけど、やる事なくてマージャンばかりしていた」の話を思い出した。釣りやスキューバーダイビングでもやらない限りは、今でも何もない場所だったのだ。

 人口は毎年減っているようで、7000人と言うから殆ど過疎地である。確かにやたらに年配者が目立つし活気もない。いくらインターネットが繋がるとは言っても、若者が出て行くのも分かる気がした。

思い出したのは、昔のイタリア映画「ストロンポリ」である。シシリア島近くの活火山のストロンボリ島を舞台にした白黒フィルムである。物語は収容所で知り合った男女が、解放されると結婚して主人の故郷ストロンボリ島に凱旋する。ただそこは貧しい漁村で、イングリッド・バークマン演じる新婦が、島の暮らしに馴染めず葛藤していた。

そんな中唯一、波浮の港は昔の面影を残していて興味深かった。「伊豆の踊り子」で旅芸人が青年と別れた後、船で向かった港町である。地元の人に聞くと、当時は大きな遊郭があったという。今でも残る三階建ての街並みがそれを語っていた。中継港として沢山の小舟が溢れていた光景を思い浮かべたのであった。

Wednesday 12 July 2023

アルキメデスの螺旋

インディー・ジョーンズの新作「Indiana Jones and the Dial of Destiny」を見に行った。このシリーズも5作目、主演のハリソン・フォードも80歳を超えたが、相変わらずの活躍は健在だった。一作目の「Raiders of the Lost Ark」から42年も経った。

物語の展開は過去の作品のネタを取り入れるなど、先日の「トップ・ガン」みたいな時間軸があって面白かった。そして今回の作品で何より刺激されたのは、舞台になったシシリア島のシラク-サ(Siracusa)であった。シラクーサは10年程前にシシリア島を一周した時に訪れた。細い路地裏にはアフリカ系の白装束の男が屯い、島でも一番古い町だった。 

 映画の後半で「アルティラティアの機械」でタイムスリップした一行が、BC214年のシラクーサ包囲戦に遭遇する。海から攻めるローマ軍に対し、アルキメデスが発明したとされる投石器、投槍器、船を吊り上げる鉤爪などで町を防衛していた。考古学者のジョーンズ博士だけでなく、今のCG技術を使った古代史の再現には興奮する。

 処で「アルキメデスの原理」は有名だが、これを機会に彼の発明の一つに「アルキメデスの螺旋」があるのを知った。筒状の中に入れたスクリューを回すと、水が下から上に移る仕組みである。 

 実は先日、佐渡の金山に観光に行った時、洞窟に置かれた人形が砂金の採取にこの技術を使っていたのを見た。その時はそれがアルキメデスの発明とは知る由もなかったが、インディーの映画で結び付いたのであった。

Tuesday 11 July 2023

中国人子弟のゴルフ合宿

先日、リゾート地のゴルフ場に行った時だった。何かいつもと雰囲気が違うな?と思ったら、中国人らしき子供達が屯していた。

倶楽部の人に聞くと、上海の金持ち子弟のゴルフ合宿と云う。モデル顔負けのコーチも付いて、10名程の小学生が色とりどりの可愛らしいウェアーを着て廻っていた。当然親も同伴だった。一週間程滞在するそうで、ゴルフ代も含めると一人100万円は下らない費用になる。

其の日、一緒に廻ったのも中国人夫妻だった。これも上海の人で不動産の内装で財を築いた人だった。今の景気を聞くと、「中国は不動産バブルが弾けて回収出来なくなってきた。むしろ仕事をしないのが一番だ」と悠々自適の生活を楽しんでいた。そのリゾート地にも別荘を買い、東京に滞在する時は一泊10万円程のホテル生活を送っているという。

勿論上海にも家はあるが、日本の介護施設がいいので、老後は日本に定住するという。 そんな夫妻を訪ねて本国からもよく友人が遊びに来るらしい。中国人は訪ねて来られたらホストが費用を持つのが慣行とかで、飲みに行く時は全部ご馳走するらしい。スケールも半端でなく、「一晩で40〜50万円は掛かる」とさり気なく語っていた。 

 中国のゴルフ場は、その豪華さで日本を遥かに凌いでいるという。ただゴルフ場の数は日本の2383に比べ473とまだまだ少ない。加えて環境も悪いので、こうして遥々隣国迄来るようだ。

 その内、富裕層だけでなく中間層までゴルフを始めたらどうしよう!「日本人が予約を取れない」なんて日が来るかも知れない。観光ツアーを超えて、次第に我々の生活圏に入ってきた。百田尚樹の「カエルの楽園」が段々現実化しようとしている。

Monday 10 July 2023

盗難のトリック

暫く前に、銀座で宝石店が白昼襲われた。犯人は逃走したが直ぐに捕まった。何と高校生も含む若者で、犯行の稚拙さが浮き彫りになった。それにしてもこの手の窃盗事件の殆どは、思いつきである。もう少し頭を使えないものか?と思ってしまう。

そんな気持ちにさせるのが、シドニー・シェルダンの「If Tomorrow Comes」である。その手口の要はトリックで、以下ネタ晴らしである。

例えばプロのチェッサー二人を相手に勝負してドローにする方法、これは同時に違う部屋で対戦し、プロAが指した駒をプロBに指すのであった。こうすれば素人でもドローに持ち込めた。

 オリエント急行内の宝石強盗もある。金持ちの女性の宝石を盗むのだが、汽車の中は隠す場所がない。唯一あるのが被害者のもう一つのバックである。予め同じバックを用意し、降車の時にすり替えるのであった。 

 プラド美術館からゴヤの絵画を盗み出す方法、通常ならセキュリテーでまず不可能である。これを可能にした手法は、一時の混乱に乗じて絵画の筆跡の上に偽の筆跡を上塗りし、再度ゴヤの筆跡を入れる。暫くして鑑定士と称する男が現れ、絵画が贋作と指摘する。美術館が慎重に筆跡を調べるとゴヤの名前の下から違う名前が現れる。世間体を気にした美術館がこっそり売りに出した処を安値で買う。犯人は持ち帰って再度偽名を消すと本物が現れるという仕組みであった。 

 その他、マフィアの子分への復讐もある。旅行バック、片道航空券、ボスの口座から大金の引き出し、逃亡先のホテルからの偽のコンファメーション等を用意し、ボスの事務所に送り付ける。 逃亡を確信したボスは怒るのであった。

昔上司が「青目には気を付けろ!」と言っていたが、つくづく西洋人の悪知恵には感心してしまう。