Sunday 31 March 2013

気になる女の視線

昔、友人から読み終わったと「女は男の指を見る」という本をもらった。男は女のお尻や胸を見るが、女が男の指を見るとは知らなかった。会社でまじまじ自分の指を眺めていたら、隣の女性から「何をしているのですか?」と言われてドキッとした記憶がある。
 

女は男のどこを見るのだろう?スチワーデスは靴だと云うし、銀座のママさんはYシャツの襟や袖と云う、要は身だしなみの世界だ。ネクタイをきちっと占め、ズボンにアイロン掛け、デパートのマネキンのようにしていればまず間違いはない。

そう思っていたら、ある時”箸の使い方”だという人が出てきた。どんな紳士でも、箸がバッテンになっていたりすると幻滅し、素性を疑うという。確かに食べ方はその人の育ち、家庭環境を反映する。ナイフさばきが綺麗だったり、食事と会話の合間がきちっと取れる人を見ると、気持ちがいいものだ。哲学者サルトルも、「人は見られて、初めてその存在が確認される」みたいな事を言っていた。芸能人のように、視線をプラス思考で受ける留めるのがいい。

Saturday 30 March 2013

刹那的なサヨナラ

3月は異動、転勤、退職の季節だ。付き合いの深い人、そうでない人色々だが、別れは別れだ。一期一会の世代としては、新しい出会いが少なくなってきた分、別れが段々重くなってくる。

特に日本語のサヨナラは、今生の別れのニュアンスがある。正に桜の季節、パッと咲いてパッと散る、刹那的な国民性からきているのだろうか。若い頃、カラオケに良く行っていた。調子に乗って歌っていると、ある時友人から「お前の歌は、別れの歌ばかりじゃないか!」と言われてハッとしたことがあった。別れと出会いは表裏一体だが、そのバランスが崩れると辛いものがある。

ただ外国の別れ方はちょっと違うようだ。以下、勝手な解釈だが、グッドバイ(Good bye)のByeはバイラテラルのバイ、つまり2人という意味。すると「これからも、お互いいい関係でいようね!」のニュアンスになる。フランス語はAu revoir、直訳すると「また会う日まで」である。中国語は確か再见、字体から見て「再び会おう」と読める。つまり、多くの国では、将来に繋がる明るさがあるような気がする。なぜ日本だけがそんなにセンチメントなのか、誰か分かれば教えて頂きたい。



Friday 29 March 2013

小泉町と戦闘機「月光」

先日、群馬県の小泉町を訪れた。東武伊勢崎・戸田線を乗り継ぎ、都心から行くには不便な地であった。終点の西小泉駅に着くと、その先の線路が切れて公園になっていた。桜並木を過ぎ遥か彼方には大きな工場が見え、地元の人に聞くと旧中島飛行機の工場跡地だという。

中島飛行機は、ゼロ戦など多くの飛行機を作った民間航空機メーカーだ。戦後の財閥解体でその姿を消したが、小泉町の小泉製作所は、海軍の97式艦攻、ゼロ戦、銀河、月光などを送り出した大工場だった。今は電機メーカーの敷地になっているが、当時工員が完成した飛行機を手押するのが目撃されている。


当時の歴史を紐解いている内に、1945年2月25日に工場がB29の爆撃を受けたことが分かった。死者21名と、当時夜間戦闘機として生産された「月光」が大きな被害を受けた。2月25日と云えば、正に硫黄島に米軍が上陸して1週間が経った頃だ。血みどろの戦いが南方の島で始まった時に、群馬の奥地まで敵機が飛んできたことになる。辺鄙な場所は、海軍の機密を守る上で、格好の場所だったのだろう。今は亡き廃線の跡が、それを物語っているようで感慨深いものがあった。

Thursday 28 March 2013

ミッドナイト・エクスプレス

今日、マレーシアで日本人の女性(38)が、覚せい剤持ち込みの罪で死刑が求刑された。まだ上告の余地はあるとは云うものの、厳しい判決だった。マレーシアはシンガポールと並び、クリーンな国と言われている。クリーンという意味は、綺麗という他に厳格という意味もある。ガム・タバコ、そして(女性の裸の写真が載っている)日本の週刊誌など、昔から取締は厳しい。
 
これを題材にした映画が、「ミッドナイト・エクスプレス(夜行特急)」である。舞台はトルコ。ハシシを持っていたアメリカ人学生が逮捕され、過酷な牢獄生活を送るストーリーだ。見ていて誰もがこんな処で死にたくないと思う。タイトルの意味するところは、闇に塗れ、夜行特急にでも乗らないと一生そこから抜け出せないということだ。

イスラム国家は戒律が厳しいだけ、欲望のはけ口も異常だ。映画「アラビアのロレンス」でも、トルコ軍に捕まったロレンスが男色の屈辱に合う。それまで実直だったロレンスはそれが契機でヒトが変わり、今度は敗走するトルコ軍に襲い掛かることになる。最近でもイスタンブールを観光していた60歳の日本人おばさんが、路上で痴漢に遭ったと聞く。奥さんを4人も持てるならいいじゃないと思うのだが、事情はそうでもないらしい。

Tuesday 26 March 2013

トルコのロシア人

キプロスの経済危機が一先ずは回避された。ユーロ危機の芽を摘むというが、いつの間にか大騒ぎになってきた。確かにキプロスの銀行預金は、GDPの4倍もあるという。日本は銀行預金がざっと800兆円、一方でGDPは500兆円なので、確かにバブっているのかも。
 
キプロスは地中海に浮かぶ小さな島だ。人口1百万人、GDPは2兆円のとても小さな国だ。昔からギリシャ人とトルコ人が衝突し、国連からPKOが派遣された曰く付の島である。最近ではロシア人のロンダリングマネーが流れ込んでいるため、今回もそれが原因という。国の預金の30%がロシア人の富裕層の所有というのも、確かに変だ。
 
それにしてもロシア人はトルコが好きらしい。多国籍の会社で働いていた頃、毎年の世界会議をどこでやるか頭を痛めた。東西交代の持ち回りのため、アジアはタイのプーケットやインドネシアのビンタン島などの有名なリソート地で行った。一方西側が選んだのは、トルコのアンタラヤ(Antalya)であった。私はその時行かなかったが、後で聞くと金髪のロシア美人でプールが埋め尽くされていたと聞き、後悔したものだった。キプロス島とアンタラヤは目と鼻の先、随分前から旧ソ連の保養地になっている。正にこの辺は、EUの最前線なのだろう。

Sunday 24 March 2013

ロレアルの末裔

2013年の世界所得版付がForbesから発表された。その中で女性として最高位は、第9位のリリアンヌ・ベタンクール(Liliane Bettencourt)氏、フランス人だ。彼女は世界最大の化粧品メーカー、ロレアルの創業者の娘で今年90歳になる。最近のニュースは、先般辞任したサルコジ元大統領に4億円を渡した疑惑である。IMFの新専務理事も自宅捜索を受けている事件だ。

サルコジとベッタンクールは親子のような関係だ。彼女のヌイイにある豪邸売却も脱税で調査されたが、ヌイイの市長だったのはサルコジ氏だった。話を聞いていると、鳩山首相のお母さんが小遣いを渡していたことを思い出した。どちらも老婆の親心である。ただ鳩山ファミリーの資産は400億円とか言われているので、ベッタンクールの3兆円に比べれば可愛いものである。

ロレアルは、元々はヘアカラーの成功から始まった化粧品の会社だ。今では年商は3兆円、資生堂の4倍もある。ある時パリ郊外をドライブしていたら、立派なゴルフクラブがあった。休日と云うの誰もプレーしていない、まるで誰かの庭のような雰囲気だった。後でロレアルのプライベートクラブと知ったが、金持ちとはこういう人たちを指すのだと思ったものだった。ケタが違う世界だけに、興味も尽きない。

Friday 22 March 2013

銭湯文化

家の風呂場をリフォームしているので、今週は毎日銭湯に通っている。久しぶりに行くと、随分と人気がないのに驚く。唯でさえも一昔前は近所に4つあった銭湯が、今では1つに減ってきている。銭湯ファンとして、気掛かりだ。
 

銭湯は家の風呂とは違った空間がある。高い木造の天井と富士山の壁画、そして八つぁん熊さんのご近所の井戸端トーク、最近ではトイレ以外に無くなってきた男女の敷居等々・・・、その醸し出す雰囲気はとても情緒がある。私は週末の夕方、ゆっくりと銭湯に浸かり、近くの居酒屋に寄るコースが好きだ。近所なので、普段着でいいのが一層寛げる。終れば直ぐに家に帰れる、このリラックス感が何とも云えない。かねがね銭湯は日本(江戸)の文化だと思っている。

日本人は、高いお金と時間をかけて温泉に行くのに、近所にある銭湯が衰退するのはとても不思議だ。跡継ぎが居なかったり重労働がネックのようだが、一方でスーパー銭湯は流行っている。車に乗ってまで風呂に入る気はしないが、ニーズはあるのだ。上手く知恵を出して、銭湯文化を残して欲しい。



Wednesday 20 March 2013

サムライのDNA

WBCの野球で日本が敗退した。頑張ったのに残念だった。侍ジャパン、そのシルエットは、刀の代わりにバットを持っていた。侍(サムライ)はサッカー日本代表でも使われている。いつの間にか、日本代表の代名詞になっている。

侍は刀一本で生きる強い男、君子への忠誠、「武士は食わねど高楊枝」のストイックな生活、愛する国と人々への奉仕・・・、とても美しいイメージがある。国際的に共鳴されるのは、騎士(ナイト)道と重なってるからだろう。

ただ、何となく使われ方に違和感もある。誰もが昔から侍だった訳ではないからだ。日本は士農工商、多くの祖先はお百姓さんや商人だったはずだ。ある人に言わせると、会社で陰口を叩いたり、肝心な時に損得勘定が出てくるのは、侍の子孫ではないらしい。DNAは隠せないということだ。いつぞや石原(慎)さんが、尖閣の時に「寄らば切る」と言っていた。個人的には見事な一刀だと思ったが、世間の評価は様々だった。サムライと言われても、皆本当に力が入るのだろうか。



Monday 18 March 2013

猫カフェ

毎朝犬の散歩に公園へ行くと、必ず野良猫に出くわす。その度に犬が反応するので大変だ。それにしても、この寒い冬をどうやって乗り切ったのだろうか?可愛そうと思っても、ごめんねと心の中で手を合わせるだけだ。野良猫の寿命は1-3年と短い、というのも頷ける。
 
猫と云えば、昔は三味線の皮や、新宿の「思い出横丁」の串焼きをまず思い浮かべる。ニャンバーガーもそうだ。しかし最近ではミュージカルの「キャッツ」や童話の主人公のように、市民権を得てきている。最たるものが、イタリアで10億円を相続をした猫だ。身近なところでも、普段は単身社宅に暮らし、週末には猫が住む一軒家に戻る人が居る。まるで猫のために家を建てたような人である。時代は確かに変わってきた。

ビックリしたのは、先日遠隔操作で捕まった人だ。事件の前に「猫カフェ」なる処に寄ったという。銀座のクラブやキャバクラなら兎も角、そもそもそんな場所があるとは知らなかった。私は犬派だが、騙されたと思って一度行って見ようと考えている。


Sunday 17 March 2013

Mr.Childrenって?

TVを付けるとMr.Childrenのライブをやっていた。(恥ずかしながらというか)名前は聞いたことはあったが、歌を聴くのは今回が初めてだ。サッカーの長谷部がピッチに立つ前に聴くのが、「終わりなき旅」だそうだ。それにしても会場は凄い数の観客だ。どうやら、知らないのは自分だけらしい。

80年代の半ばだったか、バンコクのプールで寝転がっていたことがあった。すると、突然地元の少女と報道関係者が殺到した。何事か?、まさか自分ではないだろうが・・・。横に居たボーイに聞くと、日本の「少年隊」が来ていると云う。そう云えば子供が何人かプールで泳いでいた。アイドルの名前は知っていたが、改めて世間とのギャップを感じたものだった。

知らないうちに明治の大砲ならぬ、昭和の鉄砲になっているのかも知れない。

Saturday 16 March 2013

フランスの寒波

東京で桜の開花宣言があった。冬が寒かっただけに、早い春の訪れに戸惑っている。そんな中、フランスの昔の同僚から、雪に閉ざされていて大変だと言ってきた。

フランス人のRさんは昔の仕事仲間だ。腕利きのディーラーで、銀髪の風貌は会った時から運命的なものを感じた。大きく張ることもなく、負ければ躊躇なく損切りする、典型的なデイトレーダーだった。お蔭で長年に渡り会社の利益を一人で稼ぎ出し、私を含め多くの駐在員の首が繋がった恩人である。

暫く前に、偶然フェースブックで見つけたと本人から連絡があった。近況を聞くと、ガンを患いパリ郊外の家を売って田舎に引っ越したと言う。代わりに奥さんがパリで仕事を始めたので、売ったお金でパリに小さなアパートを購入、自分は田舎で療養方々、週末に奥さんが戻って来るのを待っている。「もうこの世の終わりだ・・」と、彼にしては弱気になっていた。

そして今年の寒波。ニュースに依ると、彼の住んでいるドーバー海峡辺りは積雪が50Cm、8万軒が停電したそうだ。フランス全土でも100万人が影響を受け、約860億円の被害と120億円の災害保険が発生するなど、例年になく寒さの影響が大きいようだ。Rさんは近所に山もないのに、「スキー天国だ!」と云っていた。元気なうちに、一度訪ねて行こうか?

Thursday 14 March 2013

中国の档案(タンアン)

中国の新たな国家主席に、習近平が就任した。太子派と呼ばれる共産党の子弟だそうだ。これから10年、この人の下で中国はどうなって行くのだろう。

今から20年以上前になるが、中国の仕事をしていた時期があった。明後日北京に出張、と言う時に天安門事件が起こった。Y部長から自宅に電話があり、出張は取り止めになったと連絡があったのが昨日のようだ。当時の中国はまだ夜明け前だった。上海のホテルでは、外人が勝手に出歩くことも憚れた時代だった。ある時とある公司(コンス)に行くと、エレベーターで茶色の封筒を抱えて乗ってくる人がいた。同行していた現地の駐在員が、こっそり「あれは档案(タンアン)袋だよ!」と教えてくれた。档案とは、共産党党員が人々の戸籍、思想、心情などを書き込んだ、云わば個人情報ファイルである。中味を見ることが出来るのは、一部の共産党幹部のみである。その実態と怖さは、小説「ワイルドスワン」や「上海の長い夜」で詳しく述べられている。

流石今では封筒を持ち歩くことはないだろうが、制度は依然存続している。タンアンは人々を見えない鎖で繋ぎ留め、就業、結婚、転居などの節目に顔を出す。普段は大人しいが、文革のように政情が不安定になった時が危ない。人々が、表だって政府を批判出来ないのはこのためだ。変わっているようで、変わらない中国がここにある。

Wednesday 13 March 2013

旬がずれるEU野菜

TPP参加に向けた反対勢力は農業である。安い野菜が入って来ると農家が潰れる、と言われている。でも本当にそうなだろうか。言うまでもなくTPPの欧州版であるEUは、国境がなく農産物も含め関税のない世界である。
 
 
EUは27カ国が加盟、スーパーの食品コーナーを覗くとお国柄はとても豊かだ。例えばリンゴ、4月になると南のスペイン、イタリア産が出て、暫くすると北上してドイツ、ポーランド産、最後は量は少ないがバルト産が並ぶ。トマトもそうだ。スペイン産から始まり、オランダ、何故かモロッコ産も出回る。一般的に日本に比べてとても安い。ジャガイモは(エストニアで)1kg30円程度なので、日本価格の1/4~1/10だ。トマトはもっと較差がある。押並べて1Kgが100円程度なので、日本の1/10以下である
 
それでいて農家は何とかやっている。理由の一つは季節ギャップだ。地域によって微妙に収穫時期が異なるので、旬が重ならないのだ。先のリンゴもそうだが、4-7月の中で産地を割り振っている。それから野菜の顔もある。ドイツ産のリンゴは立派だが、同じポーランド産はやや粗雑だったりする、品質格差だ。お金を掛けたコシヒカリが、そう簡単にはタイ米に取って代わるとも思えない。まずは恐れないでチャレンジすることだ。




Tuesday 12 March 2013

カツどんとTPP

TPP参加が大詰めを迎えている。TPPについて深く勉強した訳ではないが、防戦一方の議論に違和感がある。殆どの関係者は、業界の用意したペーパーを読んでやっているのだろうが、世界に出て行くいいチャンスだということは、書かれていないようだ。これに限らないが、要約、翻訳に頼るとどんどん歪曲し、別物の世界に入り込んで行く。日本語で整理されると一見心良いが、やはり英語に触れないと本質から遠くなる。ハンバークライスやカツどんを食べて、西洋料理を語っているようなものである。

もう一つは、こうしたスキームを作るのは欧米人が得意で、日本人は全く不得手だという事だ。会社で外国人と競った人なら誰でも知っている。しかし日本人は一度スキームが決まれば、その枠に合わせて順応する才能がずば抜けているのも事実だ。この役割分担で今までやってきたといっても過言ではない。

先日ある人と話していたら、アマゾンが話題になった。アメリカのアマゾン製品の価格は平均日本の半分、テニスラケットなど4分の1もある。問題は英語だ。これが壁になって一般の日本人には疎遠だが、既に日本にいて破格の値段で買える世界がある。もうTPPは始まっているのだ。世界の流れは歴然、あとは若い世代の力を信じて流れに身を任せれればいい。恐れているのは年寄りばっかりだ!

Sunday 10 March 2013

愛宕山の春

3月に入り、急に暖かくなってきた。梅が咲き始め、ウグイスの鳴き声が彩りを添えている。正に春本番である。これからモクレン、桜、レンギョウが来て、4月半ばの新緑に繋がって行く。何かが始まる予感がする、不思議な時期である。
 
先日、昼の散歩を兼ね、港区の愛宕神社に登ってみた。愛宕山は都内にあって緑が多く、高台のせいかとても静かな所であった。あの鉄道唱歌「汽笛一声新橋を・・・・愛宕の山に入り残る 月を旅路の友として」にも出てくる、昔は東海道線から見えたようだ。何やら防災の神様でもあるらしいが、当の神社も火災にあったようだ。
 
山頂に着くと、近所のサラリーマンが寛いでいた。風流な池、紅白の梅、京都を想わせる茶店、急勾配の石段・・ちょっとした都会のオアシスであった。昔良く行った湯島天神に似ていた。そこで一句、「愛宕山、江戸を見守り400年、来たれし者を古(いにしえ)に誘う」。



Saturday 9 March 2013

彼の地の飲み仲間

暫く前に、タリンのパブ仲間からRさんの近況が届いた。Rさんはスイス人、昔結婚した奥さんがエストニア人だった関係で、タリンに住んでいる。奥さんとは随分前に別れたが、本人は唯一手元に残ったアパートに住んでいる。2人の娘さんは独立してフィンランドに暮らしているので、悠々自適の毎日だ。
 
何不自由しないRさんは、本国の年金を貰いながら質素に生きている。物価の安いエストニアなので、家賃を入れても月に10万円ちょとあれば何とか生活できる。とてもスイスだったら出来ない話である。Rさんは、日中ノルディックスキーをやり、夕方バスに乗って市内のパブに通うのを日課としている。
 
唯一の楽しみは、週末のナイトクラブである。取り立てて娯楽がない土地柄、ヒトとの出会いがある限られた空間だ。自ずと力が入るので、いろいろ過去の失敗談も多い。出会った女性に身ぐるみ剥がされたこともあった。パブ仲間から、Rさんは最近いい人が出来たので田舎に引っ越したという。タリンでもかなり田舎だが、それより奥地という意味は、レストランも無ければ、場合によって電気もない場所というニュアンスがある。Rさんとは連絡が取れないが、純情な人だけに騙されていなければいいが、彼の地にあって心配だ。

Thursday 7 March 2013

山から下りる男

会社を辞めてからどう過ごすか、人生の最後を締めくくるだけに大きな課題だ。Aさんは数年前に大会社を定年退職、待ってましたとばかり別荘を買った。東京から2時間、山に囲まれた別荘地だ。これからは静かなところで自然を満喫するんだ!、とAさんは張り切っていた。

ところが暫くすると、一緒に来ていた奥さんが「やはり私、東京の方が友達も居て・・・」とあまり来なくなり、1人暮らしが始まった。それでも初めてのDIYは楽しく、ペンキ塗りや大工に精を出した。しかし流石、1人で食べる食事が毎日続くと寂しいものがあった。そこでAさんは夕方、車で山を下り、麓の居酒屋に飲みに行くようになった。大した飲み屋ではなかったが、地元のおばさんの手料理、会話は快かった。飲めば勿論運転出来ない。そこで、その晩は駅前の旅館に泊まり、翌朝また山の別荘に帰る、そんな日が続いた。

別荘とは聞こえがいいが、一体何のために買ったのだろう?Aさんは、神田、新橋を懐かしく思うのであった。サラリーマンは長年四畳半の世界に生きてきた。他人は煩わしいが、無ければ寂しい性がある。特に飲み屋は欠かせない。理想と現実、最後の居場所を探すのは中々難しい。



Wednesday 6 March 2013

サルコジのその後

先の仏大統領選挙で敗れたニコラ・サルコジはどうしているのだろう?あまりマスコミに出ないが、インタビューに応え「私は政界に復帰する気はないが、フランスの為にすべき義務がある」と意味深なコメントを出していた。まだ57歳なので、リベンジの可能性は残されている。

 サルコジ氏はハンガリー移民の子、そしてユダヤ人の血を牽いている。フランスは多くの迫害から移民を受け入れている。昔の私の会社にも、ポーランド、ギリシャ、ベトナムの2世がいた。フランス人とは何かと聞かれれば、それは「フランス語を話す人」が正しい定義だ。斯様にフランスは人種のるつぼである。彼もその一人として、多くの支持を得た人だ。
 
サルコジ氏を有名にしたのは、20年前の爆弾男事件だった。パリ郊外の閑静な住宅街で、幼稚園に爆弾服を纏った男が立てこもり、子供たちを盾にカネを要求した。幸い男は射殺され、人質は無事解放されたが、その時交渉したのが、市長のサルコジ氏だった。たまたま我が家の前で起きた事件だったので、記憶に新しい。その時は、まさか彼がここまで偉くなるとは思わなかった。これからどうするのか、ちょっと気になる。


Tuesday 5 March 2013

香川、遠藤を見ろ!

先日、サッカーの香川選手がハットトリックを挙げた。香川選手は、今や世界に誇るプレーヤーに成長した。ただ彼も、2年前の南アW杯へは行けず苦労した。代表枠には入ったものの、最後の選考で漏れてしまった。

ガンバ大阪の遠藤選手もそうだ。2006年のドイツW杯には行ったものの、唯一試合に出れずベンチウォーマーに甘んじた。サッカーに疎い私でも、「それはないんじゃない?」と監督の采配に首を傾げたものだった。古くは三浦知良選手もいる。1998年のフランスW杯を前に、合宿所から帰国の命が出た。

いずれも3人に共通しているのは、そうしたショックの後に、とても伸び活躍していることだ。挫折と屈辱、結果的にそれが人を強くしたように思えてならない。春は受験、異動の季節だ。咲く花もあれば、残念ながら願い叶わない事もある。長い人生、まだまだこれからだ!

Monday 4 March 2013

夢のある料理番組

好きなTV番組と聞かれれば、温泉巡りと料理番組だ。日本各地の温泉を訪ねる番組は、まるで自分が行ったような気分になる。料理番組もそうだ。あたかも自分のために作っているような錯覚になる。

特に温泉は大好きだ。温泉行きたしカネはなしと云うように、いざ行こうとすると心構えもいる。やっとのことで着いたはいいが、(私は)入ると出たくなるカラスである。以前一緒に行った人が呆れていた。小学校の遠足ではないが、温泉は浸かっている時よりも、次はどこに行こうかと夢に浸っている時の方が楽しい。

料理番組もそうだ。丁寧に下ごしらえをして、徐々に献立が完成するのを見てるのが何とも面白い。グルメはグルメ、所詮食べてしまえばそれで終わりだ。誰かが「空腹こそ最大の御馳走」と云っていたが、お腹が空いていた時に勝る満足感はない。アシスタントの若い女性が醸し出す雰囲気も好きだ。新婚家庭の香りがして、料理を一層引き立てている。

Sunday 3 March 2013

昔のままの山下君

TVを見ていたら、JA共済のCMで山下達郎が歌っていた。相変わらず鼻に引っ掛けた、それでいて透き通った声は聞いていて快かった。

山下君は中学校の同級生だ。当時はおかっぱ頭で、学級委員をする優等生だった。音楽の才能の片鱗はその頃からあって、いつも休み時間になると、バチを持って机を叩いていた。何とも言えないリズム感があり、いつも鼻歌のような音楽に酔っている感じだった。

時代はビートルズが来日した頃だ。勿論彼も学芸会ではビートルズを歌っていた。私には異文化だったが、今から思えば持って生まれた才能が花開き始めた頃だったのだろう。いつぞや、こっそりコンサートに行ったことがあった。頭の方は大分薄くなったが、たれ目でそわそわする仕草は変わっていなかった。これからも益々歌い続けて欲しい人だ。

Saturday 2 March 2013

カラスの話

やっと2月が終わった。それにしても今年の冬は寒かった。まだまだ気が抜けないが、春一番の季節になってきた。桜のつぼみも出番を待っている。

春はカラスの繁殖期である。昔我が家の杉の木に、カラスが巣を作ろうとしたことがあった。幸い早めに気が付いた。鋸を持って10m程をよじ登り、巣があった先端を切り落とした。頭上でカラス達が、カーカーと旋回し威嚇する、まるでヒッチコックの映画のようで怖かった。

カラスは鳥にしては大柄だし、黒は不吉なイメージがある。何より朝のごみ箱をひっくり返し、餌を漁る習性は困ったものだ。鑑賞用でもないし、焼き鳥で食べても美味くないらしい。人間社会に同化していないのに、今日まで生き延びてきたことが、本当に不思議でならない。ただ動物界のこと、カラスが居なくなると生態系が崩れるのだろうか?

Friday 1 March 2013

女医さんの指を噛む

ある時、元人事部長から自宅に手紙が来たことがった。発信人を見た時は流石凍りついた、これは何かあるに違いない! 元人事部長のNさんは、私を採用してくれた恩人だった。ひょっとして、会社では云えない私の不祥事を、慮って暗に連絡して来たのだろうか?それとも次の異動の関係か?、瞬間に憶測が頭を過った。して勇気を出して封を切ると、そこには何と、和風レストランの案内状と推薦状が同封してあった。

Nさんは女性、取り分け若い女性が大好きだ。九州男児の血が騒ぐのか、寅さんではないが、困っている女性がいると放って於けないタイプだ。そんなこともあってか、飲む時には不思議と(お金に困っていると称して)若い可愛い女性を連れてきたものだった。今から思えば、そのレストランも御ひいきのマダムがやっていたのだろう、支援したい一心で関係者に手紙を出したのだと暫くして分かった。

先日久々にNさんにお会いした。相変わらずお元気そうだった。最近は歯の治療で歯医者に通っているという。綺麗な女医さんなので、「あーんと口を開けて」と言われ指を突っ込まれると、「思わず噛んで離さなくなってしまう」という。本能とは云えとても正直の人だと思った。先生から「そんな悪戯して駄目よ!」と怒られるが、それがまた楽しいらしい。これからも益々頑張って頂きたい。