Thursday 31 October 2019

バグダディの殺害

今週ホワイトハウスが、イスラム国(IS)の指導者バグダディ(Baghdadi)を殺害したと報じた。モニターで一部始終を見ていたトランプ大統領は、「彼は臆病者で犬の様に死んだ」とコメントした。大統領の発言として如何な表現かと思われたが、ツイートでは追い詰めた軍用犬の写真を掲載していた。シェパードに似ているが、ベルギー産のマリノア(Malinois)という聞いた事のない犬種だった。

ニュースを聞いて思い出したのは、映画「ゼロ・ダーク・サーティ(Zero Dark Thirty)」である。あのビンラディン殺害を題材にした作品である。ビンラディンの時はヘリ2機だったが、今回は8機も参加したという。ビンラディンの潜伏先が他国のパキスタンで、今回がシリアだった事が関係しているのだろうか?。また前回の部隊は海軍のSEALsで、今回はデルタフォースだった。その辺の違いがよく分からない。

また作戦のコードネームは、前回が開始時の「午前0時30分」だった。今回はISの犠牲になった米国女性の名前を付けたという。いずれ映画化されるだろうから待ち遠しい。

Monday 28 October 2019

ゾマホンのベナン

そのナイジェリアだが、飢餓人口が2500万人もいるという。その数はアフリカの中でも断トツである。人口の9人に1人は食べ物がないという事は、経済の格差が大きいのだろう。アフリカの巨人と言っても、政治が不安定になるのも容易に想像出来る。

ナイジェリアの隣はベナン共和国である。勿論行った事は無いが、どこかで聞いた事があった。思い出したのは、昔たけしのテレビ番組「ここがヘンだよ日本人!」に出演していたゾマホンの母国である。彼はその時まだ学生で、いつも民族衣装を着て出ていた。やたらに正義感が強く、邪な事を言われるとムキになる処が面白かった。特に口から泡を飛ばして話す日本語は、今まで聞いた事に無いテンポで笑ってしまった。彼はその後、駐日大使になったり、母国に学校を作った美談が載っていた。思いがけないテレビ出演が、功を奏したようだ。

ベナンと言えば、バスケットボールで活躍する八村塁選手のお父さんもベナン人だ。お母さんは日本人だが、どうして日本に来るようになったのか?映画にもなりそうな半生に、アフリカの厳しさと人の強かさが伝わってくる。

Thursday 24 October 2019

イボ族のボビー

愛読する中公新書に、「物語 ナイジェリアの歴史」が出たので読んでみた。アフリカは昔モロッコのカサブランカに行った以外、全く未知の大陸だ。そのカサブランカでも、買い物をしていると地元の若者につき纏われ、危険を感じて通りかかったパトカーに逃げ込んだ苦い経験がある。況やボコハラムの少女大量誘拐が記憶に新しいナイジェリアなんて、行こうとも思わないし行く気にもなれない。

そんな国だが、本では奴隷貿易から始まった歴史を詳しく解説している。植民地の宗主国はイギリスだったからキリスト教の布教も行われ、その会派が人口の2割を占めるイボ族だった。ただ3百万人の飢餓を生んだビアフラ戦争で敗北したのを切っ掛けに、イボ族の勢力は弱まったという。私がナイジェリア人で唯一知っているのはテレビに活躍するボビー・オロゴンだが、彼もイボ族というから、内乱から逃げて来たのだろうか?大陸に送られた奴隷の末路と重なり、悲惨な運命にあって強かに生きる別の姿が見えて来た。

本の副題は「アフリカの巨人」である。確かに人口は2億人近くいて経済も石油で潤っている。言語は英語だし、アフリカの中でも将来が期待されている。ただ馴染みのない地名と人名は、正直中々親しみが持てない。また未だに人身売買や汚職が横行し、本ではアフロビートの歌手がバックで歌う女性27人を一度に娶る話を紹介していた。巨人と言っても、命の値段は安そうだしモラルも大分違うようだ。

Saturday 19 October 2019

カナダ産の馬肉

この春、長野の温泉で馬肉(桜肉)をご馳走になった。高級な霜降り肉で、生姜醤油に浸し食べるとトロっとして美味しかった。流石に地元で食べる食材は違う!と思っていた。ところが良く調べてみると、馬肉の生産地は熊本、福島、青森が多く、長野産は殆どない事が分かった。まして国内消費の半分は輸入に頼っているというから興醒めである。

そんな中、先の読売新聞にカナダの食用馬肉の話が出ていた。その記事によると、何とカナダ産の馬肉輸出の58%は日本向けだそうで、その中には生きたまま空輸する馬が年間1000頭もいるという。興味深かったのは、カナダでは馬肉を食べるのがフランス系が多いケベック州に限られていて、自国ではあまり食べる習慣がないという。生きたまま運ぶのは、非人道的だと愛護団体が批判しているというから、その内無くなるかも知れない。魚が良くて馬が駄目なのは理屈に合わないが、何となく分かる気もする。

フランス系の美食は今更語るまでもない。カエルやジビエにエスカルゴなど、一見気持ち悪い食材でも実に上手く料理する。雰囲気作りにも長けていて、綺麗なテーブルクロスにワインが置かれると、不思議に食欲が誘われる。馬肉もタルタルステーキとして良く出て来る。胡椒や卵、ハーブなどで味付けしてパンに塗ると、赤ワインとの相性がとてもいい。ともあれ、世界的に見て馬肉を食べる人種はそう多くない事は分かった。

Wednesday 16 October 2019

Heads You Win

ジェフリー・アーチャーのもう一つの新作「Heads You Win」を読んでみた。先の「Nothing Ventured」と同じ作者とは思えない文体で、こちらはとても読み易い英語だった。いつぞや凝ったクライブ・カスラー(Crive Cussler)もそうだったが、途中から共同執筆が始まると本来の醍醐味が薄れてしまったので、雅かそんな事がないかと少し心配になった。

物語はソ連から西側に亡命した親子を描いている。主人公はSashaと言う名前で英国に、もう一人はAlexという名前でアメリカで行く設定で、一人二役の構成を同時並行で追っていた。どちらも行った国に同化し議員と銀行家として成功するのだが、最後は母国に錦を飾ろうとして帰国した時に、飛行機事故で亡くなってしまうオチだった。読んでいて、ロンドンとNYが交互に入れ替わる構成に少し頭が混乱してしまったが、相変わらずのサクセスストーリーは快かった。

ジェフリー・アーチャーの特徴は、おカネへの執着と議員生活が頻繁に出て来る事である。おカネという意味で代表的なのは「百万ドルを取り返せ(Not Less Than Penny, Not More Than Penny)」だが、このHeads You Winでも投資に纏わる箇所や母親のレストラン経営でその片鱗が出ていた。またSashaは大学を出て労働党の議員に当選し宿敵と争う辺りも、クリフトン年代記の件と重なり、作者の拘りが伝わってきた。ただソ連から亡命する件は、確かクリフトン年代記でも使われていたから、ネタが重なっている感じがした。タイトルのHeads You Winは、直訳すれば「表が出ればあなたの勝ち」だが、元々はHeads I win, tailes you lose(どっちに転んでも損しない) を捩ったフレーズのようだ。SashaでもAlexでも成功した、と言いたかったのだろうか!兎も角、原書は読み終えるとほっとする。

Saturday 12 October 2019

台風とケムトレイン

大型台風19号が間もなく上陸する。空の便や新幹線が止まり、店はチャッターを下ろし街行く人も少ない。雨や風の量が増えて避難勧告が出始めてが、週末と言う事もあり多くの人は養生した家でじっと待っている。まるでB29の空襲に備えるみたいで、国中がヘルメットを被っているようだ。

その大型台風だが、先日ある人が「それは人工的に作られている」みたいな話をしていた。その人は、「東日本大震災や熊本地震の時も、あれは人工的な地震だった」と言っていた。例の都市伝説の一つと思って、また面白い話をしていると聞き流した。ただ気になったのでインターネットで見てみると、ケムトレイン(Chemtrain)なる気象攪乱の兵器が出て来た。飛行機から農薬のようにその化学物質を散布すると、大気に高電荷のプラズマが発生し、地震を引き起こす地殻変動を誘発するらしい。実際にアメリカには、HAARPと呼ばれる高周波を活性する基地がアラスカ州にあるようだ。またクォンタムジェネレーター(量子発電)なる、ゼロエネルギーを吸い上げる装置もあった。小型のものは市販もしているし、大型になると、台風の進路を変更出来るらしい。

文科系の者にとってはどれもチンプンカンプンの世界だが、天災に付け込んで儲けようとする輩がいてもおかしくない。それにしても誰が何の目的でやるのだろう?まさか今回の台風は、消費税の落ち込みを防災グッヅでカバーしようとする訳でもないだろうし、復興需要を充てにした破壊行為でもないだろう。況やワールドラグビーを自国に有利に働かせようと考えるのも変だ。その辺がスッキリしないと今一説得力に欠けるのだが、ちょっと気になる。

Thursday 10 October 2019

キャラバンゴルファー

ゴルフをしていると色々な人に出会う。随分前だが、とある会社の元社長さんと一緒になった。彼は7つの倶楽部に入っているので、月に7回の月例会を廻っているという。資金的な余裕の成せる業とは言え、究極のゴルフ生活に驚かされた。かと思えば同じコースを廻り続ける人もいる。先般一緒になったKさんに「月何回ぐらい来るのですか?」と聞くと、「10回ぐらいかな?」と答える。それって3日毎、年間にすると100回以上!他人事ながら、よくも飽きずに続けられるものだ。

かと思えばキャラバンゴルファーもいた。埼玉に家のあるYさんは、キャンピングカーに寝泊まりしてゴルフ場を廻っている。最近は群馬県が安いので、集中的に潰しているという。日中はゴルフをし、夏の暑い時には夕方まで冷房の図書館で時間を潰し、夜は道の駅に車を止めて寝る毎日らしい。2週間に一度埼玉の家に帰り、奥さんの顔を見てはまたキャラバン生活に戻る。今までどんな人生を送って来た人か知らないが、これだけはちょっと真似できない。

その他賞金稼ぎもいた。とあるオープンコンペで一緒になった人は、景品を手に入れるとネットで販売して生活の足しにする言わばセミプロだった。事前に優勝賞品やコース攻略法も良く調べていたのに驚かされた。テレビのコマーシャルに「打ち方スタイル色々あるが・・・」という一節があったが、世の中実に色々な人がいる。

Monday 7 October 2019

香港のマグマ

香港のデモが益々混迷を深めている。先日は遂に警察官が実弾を使い始めた。撃った警察官も頭から血を流す生々しい映像に、衝突の激しさが伝わってくる。相手が高校生や中学生だと思うと痛々しい。覆面禁止(Mask Ban)の施行も、容疑者の特定が容易になるからそう簡単に収まらないだろう。始めは対岸の火事と見ていた今回の騒動、生存本能に火が付いた事態に不吉なものを感じる。翻れば日本の戦争もそうだった。「石油を止める」と言われれば死んでしまう!人は追い詰められると必死になる。

香港の学生運動は昔から結構活発だった。70年代の初めだったか、交流の一環でHKFS(香港学生連盟)の学生に会った。初めて行った香港は、東西文化が混在するユニークな街だった。人々はファーストネームを英語に代え、英語を流暢に話した。ただ一歩路地裏に入ると、暗く不潔な中国だった。野外のレストランで鳥の唐揚げを食べた時だったか、食べ終わると机の上に残った骨を給仕が路上にバラまくのを見てビックリした。香港の学生は、当時の日本の学生運動が思想対立だったのに対し、現実的で社会の代弁者みたいだった。ただ今回はその域を遥かに超えている。

折しも今年は中国建国70周年の節目である。ソ連が崩壊したのが建国から69年目だったように、70年は制度疲労が出る頃である。ソ連が崩壊した切っ掛けが、チェルノブウイの原発事故だった。まさかそれが社会主義の終焉に繋がるとは、当時誰も想像しなかった。変化は思わぬところに隠れているものだ。香港のマグマが蟻の一穴になるのだろうか?暫く目を離せない。

Friday 4 October 2019

13年目の勝利

新しく改装された有明で、楽天オープンテニスをやっている。錦織選手は欠場したが、日本人の3選手が一回戦を突破し盛り上がっている。中でも添田豪選手は、13回目のチャレンジで初めて勝てたと聞いて驚いた。長年日本テニス界のトップに居ながら、日本オープンに一度も勝てなかったとは大変な事だ。

自国の国際大会で、12年も負け続ける気持ちは如何なものだったのか?人は負け癖が付くと辞めたくなるものだ。それも趣味ならいざ知らず、仕事となると逃げ場がない。テニスの実力は、試合前にちょっとラリーを交わしただけで分かってしまう。「こいつ上手いな!」と思う相手に、本番で差を縮めるのは容易ではない。練習も大事だが、やはり才能のある人には叶わない。今回やっと一勝出来たのは良かったし、諦めなかった気持ちに頭が下がる。

実は学生時代、テニススクールでバイトをしていた。場所は今の新宿住友ビルが建っている処の、京王デパートのテニススクールだった。そこに週何回か通うのだが、1回行くと5~6千円貰えたので家庭教師より実入りが良かった。そんな縁で、夏には軽井沢で開催するK社のスクールにも呼んで貰えた。渡辺三兄弟の勉さんがヘッドコーチで、当時のテニスブームを反映して賑わった。卒業を控えた頃だったか、その会社から「うちに来ないか?」と誘われた。大好きなテニスが続けられるかと思うと嬉しかった。そんなノリで、なまじ名を馳せるとプロの声が掛かるのだろう。プロになるのはいいが、その先が本当に大変だ。

Wednesday 2 October 2019

虎穴に入らずんば

紀伊国屋の洋書コーナーに行くと、ジェフリー・アーチャーの新刊が2冊も出ていた。昨年、クリフトン年代記や短編集を出したばかりなのに、その精力的な執筆活動に驚かされた。永年のファンとしては、「だったら頑張って読むか!」と早速買って帰った。

まず「Nothing Ventured」の方から読んでみた。タイトルは、Nothing Ventured、Nothing Gained(虎穴に入らずんば、虎児を得ず)の諺からの引用したのだろうか?冒険してみないとのニュアンスが伝わってくる。物語はスコットランドヤードの警部補が主人公である。彼は盗難された絵画を追っている内に、美術館の若い女性と恋に落ちる。しかし彼女の父に殺人容疑が掛かっている事が分かると、その嫌疑を晴らそうと、弁護士の父とタッグして解決に導くのであった。著名な父は当初、大学を出た息子に自分と同じ法律の道を期待した。しかし息子は意に反して警察を選ぶのだが、ベンチャーする息子を応援する姿が印象的であった。クリフトン年代記でもそうだったが、ジェフリー・アーチャーの描く人間模様はどこか品位がある。

もう一冊は「Heads You Win」である。秋の夜長に、もうひと踏ん張りしないと・・・。