Pubの話
Saturday, 12 September 2026
遠山の金さんの時代
Friday, 11 September 2026
高野長英と八ッ場ダム
吉村昭の「長英逃亡」を読んでいると、今でも身近に逃亡経路が残っている事が分かった。その一つが群馬県の中之条市の沢渡だった。雨で道路が心配されたが、早速行ってみることにした。
長英こと高野長英は江戸末期の蘭学者である。鎖国の批判本を書いた罪で投獄されるのだが、6年後に脱走に成功する。目指すは故郷の水沢(今の岩手県)だった。ただ追手の目もあったので、群馬や越後を迂回する事にした。その時通った一つが、嘗ての蘭学仲間がいた中之条の沢渡であった。
沢渡は鄙びた温泉町である。20年ほど間に一度訪れたが、殆ど変わってなかった。早速共同浴場でひと風呂浴び、馬鈴薯が入っているという長英蕎麦を味わった。蕎麦屋の裏手に高橋景作の墓碑があったので手を合わせた。彼は長英を匿った蘭学仲間の医者だった。
もしもその事が分かれば命は危ないし、家族も巻き添えになる。それを承知の上で、全国に散らばる多くの蘭学ネットワーク有志が彼を助けた。長英の人望も沙流ことながら、改めてその志の高さや鎖国への危機感が伝わってきた。
久しぶりに訪れた吾妻渓谷であった。八ッ場ダムが完成して立派な道路が出来ていた。巨大なダムは不便な地形を一変させ、水上バスも走る観光地になっていた。
思い出したのは、民主党の前原さんだった。彼は国交大臣になるとダムの差し止めを叫んだ。そのせいで工事が2年遅れたようだが、何故そんな事を言い出したのだろうか?今どう思っているのか、聞いてみたくなった。
Monday, 7 September 2026
子供時代の暗い過去
東野圭吾の「悪意」は、名を馳せた作家を成功しなかった作家が殺す話である。二人は子供の頃からの知り合いであった。加害者の動機は、その子供時代の悪事を知る同僚の抹殺であった。その動機を隠すために、別のシナリオを組み立てて殺すといった、込み入ったストーリーであった。話としては面白いかも知れないが、捕まる事を前提に犯罪を犯す人なんていない。
この手の代表作は、何と言っても松本清張の「砂の器」だろう。物語は大成した音楽家の処に、自身を育ててくれた恩人との再会から始まる。しかし彼にとっては、今の輝かしい経歴に暗い過去は似合わないし、ましてそれを一から知る人は邪魔である。そこで殺人まで犯してしまうが、刑事が二人の繋がりを発見する件が面白い。
確かに都合の悪い過去を、他人が覚えているのは気持ちいいものではない。特にその人が大成し、社会的な地位を築けば築くほど、それは恐怖へと変わっていく。
まだ小学校に入るか入らないかの頃だった。よく家に子供たちが遊びに来た。ただ彼らが帰ると、引き出しに仕舞っておいたチョコレートがなくなっていた。それは何度か続き、そのうち犯人はK君だと分かった。
もしもそのK君が大人になって代議士か大会社の社長さんになって再会したらどうだろう?殺されることはないだろうが、訳もなく疎遠にされるのは容易に想像できる。
Sunday, 6 September 2026
富士山の女医さん
TVを観ていたら、富士山の診療所の特集をやっていた。八合目にある無料診療所で、高山病などで多くの登山者が訪れていた。それをヒマラヤ登山の経験もある女医さんが対応していた。
彼女は急変を訴える患者に対し、「下山を勧めるのは簡単だが、何とか山頂を目指す気持ちに寄り添う」と言っていた。その前向きな治療は、同じクライマーだから分かる事かも知れないが、とても頼もしい医者だった。
登山者の多くはインバウンドで来る外国人である。昔新宿を歩いていると、外人から「登山用具を売っている店を知らないか?」と聞かれた。その人はやはり富士山に登るそうで、来日してから準備に入ったようだ。
そんな人たちが、八合目まで来て引き返すのは余程の無念だろう。大怪我をしたり、体力が消耗して担架で運ばれる人なら仕方ない。でも多少の頭痛だったら、我慢して頂上を目指すのは理に叶っている。そんな気持ちを察して、登はんを後押しする人の存在は大きい。
尤も引き返すのが理に叶っている事がもある。それは道を間違えた時である。来た道を戻るのは、下山して又昇るから体力を2倍使うことになる。だから誰もが躊躇するのだが、その勇気が事故を防ぐきっかけになる。
山登りは最近すっかりご無沙汰してしまった。このままだと富士山にもご縁のないまま終わってしまいそうだ。
Wednesday, 2 September 2026
東野圭吾にチャレンジ
暫く前に東野圭吾さんが亡くなった。若い人なら誰もがファンの人気作家だった。売り上げだけでも、一億冊を超えているというから驚きである。
ただ最近の作家は軽くて薄い先入観がある。「どうせ読んでもガッカリするのがオチだろう!」と思っているから手にしない。でも世間の評価も気になったので、これを契機に片っ端から読み始めた。やはりその感はいがめない。
「容疑者Xの献身」は数学教師の偽装殺人である。好きな女の為に身代わりになる話で、事件後に第二の本当の殺人まで犯してしまう。直木賞も取った作品らしいが、普通なら女が事件を犯した時点で自首を勧めるのが定石だと思った。
「秘密」もそうだ。交通事故で亡くなった妻が生き残った娘の中に宿り、成人するまで夫と3人で生活する物語である。心温まる話だったが、やがて事故を起こした運転手の妻やその息子との交友が始まる。スウェーデンシンドロームではないが、被害者が加害者遺族に寄り添うなんてあるのだろうか?
「ダイイングアイ(Dying Eye)」は交通事故を起こしたひき逃げ犯二人が、カネと社会的地位と交換に身代わり犯になる話である。最後は死んだ被害者の怨念で事件は明るみに出るのだが、普通は警察の実況見分や事情聴取の過程でバレそうなものである。
「夜明けの街で」は中年男が不倫する話である。中年の妻子持ちが女にアプローチされれば、「変だな?」と思うのが常である。それをズルズルと利用され、女の事件のわき役に使われる。結局他殺でなく自殺だったり、中年女が自身にナイフで突き刺すなんて出来るのだろうか?
「変身」は脳移植された男が、ドナーの性格に変身して行く話である。その過程で殺人までしてしまうのだが、これはジェイソン・ボーンからヒントを得たのだろうか?
ただ「悪意」は良かった。有名作家になった男が、やはり作家の元同級生に殺害される事件である。加害者はその犯行の筋書きを作るのだが、それは本当の動機を隠すためであった。彼は中学時代に不良仲間に入って悪行を働いた心の闇があった。その闇を消すのは分かるが、果たして他人まで消す動機になるのだろうか?
「探偵ガリレオ」シリーズもあった。殺人はプラズマ、衝動波、超音波、ナトリウム、ネオジウム磁石など、理科系のトリックで行われる。福山正治のドラマは面白いかも知れないが、そんな専門知識を使えばすぐにバレそうなものである。
こんなケチばかり付けていると若い人に嫌われる。それを承知でもう少し頑張ってみたい。ここまでやっと10冊ちょっと、全部で100冊もあるというので先は長い。
Monday, 31 August 2026
セルビアの突出部(バルジ)
Saturday, 29 August 2026
イランのコネ社会
全米オープンテニスを前に、フェデラー選手を迎えたイベントが催された。久々に見る彼の雄姿と、現役時代と変わらないプレーに多くの人が酔った。
シングルスはロディックと、ダブルスはマッケンローとアガシを交えて行われた。いずれも全米選手権に名を刻む優勝者で、その演出はとても豪華だった。当時を彷彿とさせるプレーを見て、ファンも元気を貰っているのが伝わってきた。
ところでそのアガシ選手だが、強力なフォアハンドを武器に全米では2回のタイトルを取った。プライベートでも華やかで、ブルック・シールズと別れたかと思ったら、今度はグラフ選手と結婚した。今では2人のお子さんに恵まれ、幸せに暮らしているようだ。
処で彼の父親はボクサーで、イランからの移民である。アガシ自身はアメリカで生まれている。そんなイラン系がアメリカでは75万人いるようだが、先日のW杯で大勢の抗議デモの人が会場に押し寄せて問題になった。
彼らは自国の選手を応援するのでなく、現政権の出先として逆に非難していた。パーレビ時代の国旗を振って抗議する姿に、同じイラン人が二分されたようで複雑な思いで見ていた。
「イランの地下世界」の著者若宮氏のよれば、イランはコネ社会で、コネのない人は賄賂を使う。だから公の利益より個人の利益が優先されるので、個人崇拝の土壌が出来てカリスマ(独裁者)を生むという。社会は必然的に協調より対立、収れんより拡散するのも、その辺の事情があるようだ
アガシ選手はもう生粋のアメリカ人だから関係ないかも知れない。ただそんな故国をどう思っているのか、いつか聞いてみたい気がする。




