Tuesday, 11 August 2026

「武器よさらば」の舞台

記憶が蘇ってくると、そのロビー二(Rovini)はテニスの町だった。旅した夏も国際大会をやっていて、首都でもないのに道路が随分と整備されていた。だからフェデラーもヴァカンスではなく、その関係で訪れたのかも知れない。


ところでそこから100km程北西に行くとイタリアで、大きな港町トリエステ(Torieste)がある。私のお気に入りの一冊だが、ジュール・ベルンの「アドリア海の復讐(原題:Mathias Sandrof)の舞台である。

ハプスブルグ家から独立を目論むハンガリー人(マジャール人)の物語で、デュマの「モンテ・クリスト伯」を焼き直しした復讐劇である。

物語はそのトリエステで、謎の暗号を持った伝書鳩が見つかってしまう処から始まる。アンテキルト博士の名で復讐する彼が現れたのがドブロブニクだったり、フィクションと現実と混ざり合っていて面白い。

また北東に行くとスロベニアに入る。その国境の山奥にコバリド(Kobarid)という小さな村がある。そこに第一次大戦の「カポレット(Caporetto)の戦い」の記念館があると言うので行ってみた。

戦いはオーストリアにドイツが加わった連合軍がイタリアに勝利する。その混乱を描いたのがヘミングウェーの「武器よさらば」だった。

映画ではアメリカのイタリア義勇兵をゲイリー・クーパーが演じていた。愛人との逃避行もあってロマンティックな作品でもあった。

映画で見たシーンを思い浮かべ、両軍が対峙した山岳地帯に残る輸送路や塹壕の跡を歩くと、砲弾が飛び交った当時が蘇ってきた。戦跡巡りのオタクとしては、ノルマンジーやワーテルロー並みに感慨深かった。

Monday, 10 August 2026

フェデラーのヴァカンス

Facebookは余り使っていない。ただ時々知り合いが投稿するので見たりはする。今日は友達登録してあるフェデラーから、ヴァカンスの報告が入った。

場所はクロアチアのロビーニ(Rovini)だった。どこかと思ったら、昔泊まったプーラ(Pula)という大きな港町の近くだった。その時のホテルが、ハプスブルグ最後の皇帝ヨーゼフ一世も泊まったホテルだと聞き、痛く感激した。

クロアチアはアドリア海に面し、多くのローマ遺跡が残る素晴らしい国である。バルカン半島の中でも一番垢抜けして治安もいい。それでいて物価は安いしワインも美味しいので、知り合いのドイツ人は毎年キャンピングカーで訪れている。

その日の前日は、有名な観光地ドゥブロブニクを経って北上した。夕方になったので、名もない港町で泊まることにした。ところがホテルらしきものはないので、レストランの主人に聞くと、「俺の家の部屋が空いている。30ユーロで学生割引だ!」とお世話になった。

ところが翌朝、お金を支払おうとしても店は閉まっている。暫く椅子に座って困っていると、水着姿の可愛らしい少女がやってきて「どうした?」と聞く。事情を話すと「今日は日曜日だから起きてこないよ!」と言う。仕方がないので、部屋に手紙とお金を置き、鍵を内側から差して出発した。

火照った体を冷やそうと、入った海は5分も浸かっていられないほど冷たかった。フェデラーもそんな所で泳いでいたが、旅の記憶が蘇ってきた。

Saturday, 8 August 2026

カナダのゴルフ場

 カナダでゴルフをした。ヴァンクーバーの郊外約70㎞程の町に宿を取った。東京で言えば高崎や宇都宮になろうか、この70㎞という距離感は万国共通で、都心から日帰りゴルフで来れるギリギリの場所になる。だからそこから先は、料金がグッと安くなるのである。

カナダのゴルフ場数は世界4位である。因みに1位は勿論アメリカだが、2位は日本である。国土は広いから田舎でも沢山のゴルフ場がある。例えば人口1万人以下の町でも(9ホールだが)立派なゴルフ倶楽部があるし、車で1時間圏内なら数知れない。

ゴルフのスタイルは、オーストラリアと殆ど同じである。予約はネットか電話で取り、着くとプロショップでお金を払ってスタートする。混んでいる週末などは現地の人と一緒になるが、皆さんとてもフレンドリーだ。中国人や韓国人が多い国だからか、現地に住んでいる日本人によく間違えられる。

唯一違うのが距離表示である。オーストラリアだとメートルだが、カナダはヤードである。英国やアメリカもヤードなので、何故オーストラリアだけがそうなのか分からない。また手引きカートはオーストラリアだとPull buggyと呼ぶが、カナダはPull cart だった。

料金は日本とあまり変わらない。立派な倶楽部だと1万円は超えるが、平均すると6~9千円程度で埼玉の奥地や群馬並みである。4千円のパブリックもあったが、流石にボールはよく無くなる。

ただオーストラリアに比べると華やかさに欠ける。気候が北海道に似て、夏でも肌寒いせいだろうか?終わってからクラブハウスで談笑する人も心持ち少ない。中国語やハングルが飛び交う雰囲気はカナダである。

こんな話を友人にしたら、「毎日ゴルフやっていて飽きなかったの?」と聞かれた。確かにその通りかも知れない。でも自然を除けば然したる観光地もないから、これに勝る楽しみはない。どこも倶楽部も初めて訪れる新鮮さもあるし、始まるといつの間にかスコアメイクに没頭してしまう。

Friday, 7 August 2026

W杯に冷めた人々

7月はサッカーのW杯で盛り上がった。中でも(決勝で敗れはしたものの)メッシを中心とするアルゼンチンの逆転劇は凄かった。準々決勝の対スイス戦でも準決勝のイングランド戦でも、前半に失点したが後半追いついて逆転した。素人目には、終盤まで殆どシュートを打たなかったのも、コースを読ませない戦術に映った。

それにしても、これだけ世界の人が熱狂するスポーツも珍しい。この時ばかりは、右も左も敵も味方もない。普段は眠っていた愛国心に火が点く。毎日W杯が続けば、世界はもっと平和になるかも知れない。

バンクーバーの町でも、7月5日に行われたブラジルvsノルウェー戦の盛り上がりは凄かった。中心街の飲食店が立ち並ぶ一角では、野外に置かれたTVに若者が群がっていた。その殆どがブラジル応援団だった。近年カナダへの移民が増えているせいかも知れない。

ただ意外とそうでない人も多い。その前日は主催国の地元カナダとモロッコの一戦だった。放映は土曜日のお昼時のゴールデンタイムだった。その日は郊外のゴルフ場にいたが、クラブハウスでは誰もTVを見ている人がいない。レストランの女性に「応援しないの?」と聞いても肩を竦めるだけである。

そう言えば、決勝のスペインvsアルゼンチン戦もそうだった。近くのパブに途中から入ってみたが、盛り上がりはなかった。

思い出したのは、2017年のウィンブルドンテニスの決勝戦である。たまたまバルカン半島を旅していて、クロアチアのプーラという町の近くのパブに入ると、フェデラーと地元の英雄チリッチ戦をやっていた。パブでは勿論それを生中継していたが、客の殆どが無関心であった。その時はとても不思議に思えた。

7月はテニスのウィンブルドンや、ゴルフの全英オープンもあり忙しい月だった。TVで見る限りどれも例年並みに賑わっていた。大谷選手のMLBも閑古鳥が鳴いているかと思いきや、いつもの盛況があった

日本はモノカルチャーだから中々分かり難いが、世界の関心は意外にばらけている。特に田舎に行けばW杯も殆ど他人事になる。

Thursday, 6 August 2026

セウタの移民騒動

 先日スペイン領土に、モロッコから6万人が押し寄せる騒動があった。場所はスペインの飛び地であるのセウタ(Ceuta)だった。「そんな所あったっけ?」と思って調べたら、確かにモロッコ半島の小さな一角だった。

スペインは歴史的な背景から来るのだろうか、意外な所に領土を持っている。有名なのはアフリカのカナリア諸島である。(行った事はないが)そこのテネリフェ島で一昨年、ゴルフのアマチュア選手権が開催された。日本から参加した女性から初めてその名前を聞いて知った。


騒動の原因はスペイン政府が、不当滞在の移民50万人に1年の滞留許可を与える発表をしたことにある。ただでさえも若者の失業率の高さ(35%)が問題になっているモロッコである。若者が飛びついた理由も頷けた。

映像で見る限り雲霞のごとく、着の身着のまま海を泳いで渡る姿は壮絶であった。ここまで追い詰められた若者も命を懸けてだったのだろう、60名近い人が死亡した。

余談だが昨年の夏にスペイン一周をした時、南端のカディスという港からフェリーでモロッコに渡ろうとした。ただ往復の切符も購入し、いざ乗船という時に「待った」が掛かった。乗っていた「EUのレンタカーでは入れない」という。結局料金を払い戻して諦めたが、後から考えると不安定な治安の中で行かなくて正解だった。

またスペインとアフリカを隔てるのがジブラルタル海峡だが、何とスペイン側の町ジブラルタルは英国領だった。スペインからジブラルタルに入る山のトンネルには、国境があって仰々しかった。その時に時間も押していたので引き返したが、ビザなしで簡単行き来できることが後で分かり、行っておけば良かったと悔しんだ。

Monday, 27 July 2026

医療費ゼロのカナダ

カナダに滞在中に、アメリカ国境近くで森林火災があった。煙がアメリカに流れた事に、トランプ大統領が「アメリカが汚染された!」と言った。予てより「カナダを51番目の州に!」発言でひんしゅくを買っていただけに、又火が付いた格好になった。

カナダとアメリカの違いは何なのか?傍から見ていると中々分からないが、カナダの国土はアメリカより広いし、一方で人口はアメリカの11%程度に過ぎない。その大らかさが国民性に出ている気がする。

例えば人種であるが、ゴルフ場などでも中国人がやたらに目に付いた。聞く処によると、バンクーバーの5人に1人は中国系で、その数は50万人を超えるという。ターバン姿のインド人も多いし、韓国人とはゴルフも一緒に廻った。普通なら白人との関係が気になるが、広いから棲み分けも上手く行っているのかも知れない。

また町の表示や商品の説明は、全て英仏併用である。面白いのは、カナディアンフレンチは本場と少し違った。例えば朝食は 本場だとle petit-déjeunerだが、カナダではle déjeuner(昼食)、昼食のle déjeunerはle dîner(夕食)であった。英語もそうで、Toilettと言っても通じず、正解はWashroomだった。

その生活を支える医療費はタダと聞いて驚いた。北欧のように税金が馬鹿高い訳でもないし、消費税は12%と普通だった。物価も郊外で暮らせば、殆ど日本並みの安さを実感できた。天然資源が豊富で、電源の半分以上は水力発電で賄っている。生活コストが安く済むのだろう。

たまたまTVで映画「アルゴ」をやっていた。物語は革命後のイランで残されたアメリカ大使館員を救出する話だが、カナダ大使館が匿って脱出に成功する。「Thank you Canada」の垂れ幕が印象的だった。

Saturday, 25 July 2026

ランボーのロケ地

 カナダのバンクーバーから150kmほど山に入った所に、ホープ(HOPE)という町がある。

先日そこのゴルフ場に行った時、その町は映画ランボーの第一作目「First blood」 のロケ地だった。

物語はシルベスタ・スタローン演じるベトナム帰還兵が、余所者を嫌う保安官から迫害を受ける話である。夏でも肌寒いのに、嘸かし撮影も大変だったと思った。

町の中心部には、ランボー像が建っていた。ただそれより更に大きいのが保安官像で、更に中心に位置していた。映画では悪役だったが、今も昔も地元のヒーローは保安官なのであった。

町にある小さな映画館では、秋になると作品を上映するという。また撮影した森は、マウンテンバイクのツアーがあり、ランボーのサバイバルを体験出来るようだ。それにしても舞台はアメリカかと思っていたが、実はカナダだった。

ゴルフ場は9ホールの綺麗なコースだった。マーモットと呼ばれるウサギのようなリスが沢山生息していた。近寄ると逃げるが、モコモコと可愛らしかった。