Wednesday 31 August 2022

運転免許の更新

先日、運転免許証の更新に行った。近くの警察署に着くと結構な人が並んでいた。正に密状態で、改めて対象者の多さに驚いた。 

 担当官も次ぐから次へと流れ作業で捌くのだが、視力検査でつっかえてしまった。前に並んでいた男が間違えたようで、検査官から「もう一度!」と言われた。男は「ちょっと待って下さい」と目を擦り再挑戦するが今度も違った。検査官はそれでも忍耐強く「もう一度良く見て下さいね」と促すと、男は「うーん、上かな?」と自信なさそうに答えた。

流石にこれは正解だったようだが、その時分かったのは、正解が出るまで何度でも試せる事だった。所詮解答は上下左右の四コマしかないので、最悪四回やればメクラでも合格出来る仕組みだった。 

 かくの如き形式的な免許証制度に疑問を持つ人は多いと思う。車検もそうだが、国土省の天下り先の為に払っている感覚は拭えない。 

 アメリカやイギリスも10年更新で他国並みなのかも知れないが、フランスのように一度取れば生涯更新なく使える国もある。自動運転の時代に入っているのだから、そろそろ考え直してもいい時期かと思う。

Saturday 27 August 2022

干ばつと殺人事件

世界的な異常気象が続いている。欧州やアメリカ、中国でも40度越えの日が続いている。熱波で火事も多発し足り、農作物への被害も深刻になっている。

雨も降らないので、湖や河の水位がどんどん下がっている。ライン川の運航船の貨物が半分にしたとか、三峡ダムが緊急放水したとか、ニュースは絶えない。そんな中、思わぬものが出現して話題になっている。中国では長江の川が干し上がると仏像3体が現れた。600年前の物らしいが、ちょっとした観光になるかも知れない。

セルビアでもドナウ川から、第二次大戦時に沈められたドイツ軍艦が現れた。クライブ・カスラーの冒険小説は、こうした難破船を題材にしているだけに、ロマンを掻き立てられた人は多いのではないだろうか? 

 驚いたのは、アメリカのネバダ州の湖底から樽に詰められた遺体が出て来た話だった。服装から1970年代の時期も特定された。50年前だから、ひょっとして犯人は生きているかも知れない。長い間、完全犯罪が成立していたと思いきや、正に天が暴いた一件だった。

一度終わったはずの過去が、突然ある時明るみに出ると誰しもが驚く。思い出したのは、映画「太陽がいっぱい(Plein Soleil)」である。アラン・ドロンの若い頃の作品で、彼が演じる青年がヨット上で殺人を犯す。遺体は海に流して終わったかと思っていたが、遺体が船底に絡まっていて、陸に引き揚げれた船から事件が発覚するのであった。完全と思っていても、どこかに落とし穴はあるものだ。

Friday 26 August 2022

ガリツィアのユダヤ人

行った事もないウクライナのガリツィアだが、バルザックが遥々パリから文通相手の婦人に会いに行った土地と知って以来、気になっていた。先日本屋に行くと、「ガリツィアのユダヤ人」というタイトルの本が目に留まった。

早速読んでみると、著者は一ツ橋を出た金沢大の先生だった。ガリツィアは元ポーランド領だったが、今は西ウクライナに属する地域で名前も消えている。そこにやはり消えてしまったユダヤ人の研究をしていて、そのマイナーさに変わった人がいるもんだと思った。ただそれは田澤耕氏のカタルーニャ語のような独創性もあって、ついつい引き込まれてしまうのであった。 
 
氏は「隣人が敵国人になる日」も出していた。言わずとポーランド人とウクライナ人の反目である。それに少数民族のユダヤ人が絡むのだが、改めてこの辺りは、昔から争いが絶えない血生臭い土地だと教えてくれるのであった。

ところでゼレンスキー大統領もユダヤ人と聞く。彼は東ウクライナの生まれである。ガリツィアにも現在7万人位のユダヤ人が残っているというが、著者によれば昔からいたユダヤ人はアメリカなどに出て行って、今いる人はロシアから入って来た人だという。だから彼のルーツも同じような経路を辿っているのかも知れない。

いずれにしても、日本と違って大陸に住むと大国のパワーバランスに振り回せれるから怖い。ガリツィアからポーランド人が出て行ったのも、ドイツが敗北した玉突きだった。島国の日本にいると、こうした感覚が中々分からない。

Friday 19 August 2022

犬とペットロス

愛犬が耳を搔いている。痒そうで後ろ足で何度もボリボリやっている。昔飼っていた犬も同じようなことをしていたので、「ひょっとして?」と思い見ると、耳の中に膿が溜まっているではないか!早速近くの獣医に連れて行くと、「これは外耳炎だね!」と言われた。飛び込みだったが、丁寧に治療してもらい事なきを得てホッとした。

犬を飼って40年、今回ので6頭目になる。長生きするのもいれば、2年弱で死んでしまったのもいた。一緒に暮らしていると家族同様、あるいはそれ以上に情が移るから困ったものである。だから急にいなくなると寂しさと喪失感で変になってしまう。

昨年8歳で死んだゴールデンレトリバーはその典型だった。大人しくて置物のようにじっとしている犬だった。普段は呼んでも来ないが、エサの音がすると立ち上がってやってくる。それがある時突然元気がなくなった。大好きな散歩も嫌がり、2カ月ほどして電池が切れるように息絶えてしまった。暫くは毎日、写真ばかり見ては懐かしんだ。所謂ペットロスになってしまった。 

そんな話をやはり犬仲間のCさんにした。Cさんは奥さんに先立たれ愛犬と二人暮らししている。ただその愛犬も17歳、もういい歳である。そんなCさんを見て「そろそろもう一匹飼ったらどう?」と話した。「そうだな?でも俺も歳だから新しいのが来ても、俺の方が先に逝っちまうよ!」と尻込みする。「そんな事心配しちゃ駄目だよ!新しいのが来れば又変わるから!」と言ったものの、その後どうなったのだろう。犬は可愛い分、付き合い方も大変だ。

Sunday 14 August 2022

田澤耕氏の人生

馬鈴を重ねて人生を振り返ると、失敗談ばかりが出てくる。「反省は年寄りの特権」と誰かが言っていたが、正にその通りで困ったものである。

その一つが英語である。未だに語彙は少ないから原書も真っ当に読めないし、映画を見ても何を言っているのか分からない。昔英語でプレゼンした時、上司から「それじゃダメだ!」と言われた事があった。その時は「何で?」と思ったが、今になってその意味が分かり恥ずかしくなっている。そして「俺は本気で勉強したのだろうか?」と、安易に過ごして来た日々を後悔するのであった。 

そんな事を思い出させたのが、田澤耕氏の「カタルーニャ語、小さなことば、僕の人生」の一冊だった。同世代の氏は、東京銀行からスペイン留学を経て、カタルーニャ語の権威になった。ひたすら好奇心と知的生活を追って行く内に、気が付くとゴールに立っていた自然体が、読んでいてとても快かった。

 外国に憧れてた動機は俺と同じでも、学生時代から英語の翻訳は友人から「これで食っていけるよ!」と言われるレベルだったと言う。仕事の傍らに受けた日仏の通信講座も、俺も試したが成績も良かったようだ。成る可くしてなった人だったのかも知れないが、やはり本気度が全然違っていた気がした。

 本の最後に癌に冒されている事を述懐していた。まるで遺書のようで、上り詰めた一本の人生を総括しているようだった。人生で出会った人に後年助けられる話や子供の教育など、人間的にも立派な人だったのが伝わってくる。斯くしてスペインの空気の中で送る余生も理想だし、俺もこんな生き方をしたかったと、誠に羨ましく思えたのであった。

Tuesday 9 August 2022

バッハの無伴奏

久しぶりに生のクラシック音楽を聴きた。ハンガリー人のチェリストを中心にした、シューベルトやベートーヴェンの三重奏、四重奏であった。余り聴き慣れない曲だったが、シューベルトが18歳の時の作品だったり、生涯独身だったベートーヴェンの女性への思慕も入っているとかで、作曲時の風景を思い浮かべながら楽しんだ。
 
中でもバッハの無伴奏は良かった。無伴奏はハーモニーがないので単調である。

ただバッハの曲は、省略された低音や和音が想像力を生み出すと解説にあった。分かったようで良く分からない説明だが、不思議とそのモノトーンが心に響くのであった。 

その旋律を再発見したのがパブロ・カザルスと言う。カザルスは国連でカタルーニャに思いを込めてバッハを演奏した時、鳥はピース!ピース!と鳴くと話していた。以来、鳥の鳴き声を聞くとカザルスとチェロを思い出す。 

今回改めて三重奏を聴いてみると、始めはバイオリンの音に耳が集中した。ただ暫くするとチェロに移った。ヴィオラは最後まで脇役だったが、バイオリンとチェロの間に入っていい味を出していた。色々発見のある一日であった。

Saturday 6 August 2022

馬鹿の語源

アメリカ下院議長のペロシ氏が台湾を訪問した。女性ながら中々芯が強い人のようで、トランプ氏の議会演説の原稿を破ったビデオも放映されていた。これに対し、中国は当然反発し軍事演習を始めた。日本のEEZ内にも着弾したようで、予期せぬ衝突が起きないか心配だ。

中国共産党は、台湾を含む少数民族を力で抑えている。ウィグルやチベット、香港など、少数民族といってもその土地は国土の半分近くを占めている。ウィグルは天然資源と核実験の希少な土地だったり、台湾は故宮博物館には歴史のお宝が眠っている。もしもこれらを失えば昔の大陸民族に戻ってしまうから、必死なのだろうと思っている。

それにしても中国共産党の思想・情報統制は凄いものがある。ITが進化しているから、益々コントロールは盤石となっている。昔から中国人と話しても全くつまらなかった。本音がなく綺麗ごとばかり並べるからだった。その内何か馬鹿に見えて来たが、今から思うと長年培われた保身術だったのだろう。

その「馬鹿」の語源について、最近出た百田尚樹氏の「禁断の中国史」で紹介していた。それは始皇帝の死後に頭角を現した趙高という男の話である。ある日彼は鹿を連れてきて、臣に「これは馬だ!」と言った。「お前はどう思う?」と臣に聞き、「いやそれは鹿です」と応えた者を後で処刑したという。忠誠の首実検だったようだが、今でもきっと同じ様な事をやっているのだろう。

Friday 5 August 2022

リンクスのゴルフ場

先週、国内の女子ゴルフ大会で、勝みなみ選手が22アンダーで優勝した。4日間の72ホールでノーボギーで廻った。これは史上初という。日頃ボギーを取り敢えずの目標にしている者にとって、流石プロは違う!と思った。

同じ週、スコットランドでは古江彩佳選手が21アンダーで優勝した。4日目は10バーディーとノーボギーだったという。こちらも立派だった。気になったのは、舞台になったDundnald Linksのゴルフコースである。

場所はグラスゴーの西、スモーキーなウィスキーで有名なアイラ諸島の対岸だった。1900年の初頭に開場した名門倶楽部も、戦時中は陸軍の駐屯地だったという。気になるプレー費だが、この季節、宿泊込みで1ラウンド500ポンド(約8万円)というから決して安くない。 

 リンクスは何度か試してみたが、どこまでも続くグリーンを歩いているだけで幸せな気分になるものだ。木々がないせいか、距離感が掴みにくかったり、一見パターで転がせるような錯覚に陥るのが特徴だ。

気を付けなくならないのがブッシュである。ボールが見つかってもまず出ないし、何よりティッシュペーパーが落ちている事がある。コースにはトイレがないので、ブッシュで用を足すので要注意だ。海岸線だから、海風を味方に出来るかが勝負の分かれ道になる。

今週は渋野選手も出ている全英オープンをやっている。やはりスコットランドのMuifieldで、此方もリンクスコースである。コロナが晴れたら、また行ってみたくなってきた。