Thursday 31 July 2014

コネマラの心配石

アイルランドに心配石(Worry Stone)という土産がある。西のコネマラ地方の産物で、海が湿地帯のように内陸に入り込んでいるアイルランドらしい景色が続く場所である。そこの大理石なのだが、指で擦ると心配事が無くなるという。

能書きにはこう書いてある。心配事があっても病気でないなら心配しなくていい、仮に病気でも死ぬような病で無ければ心配しなくていい、万一死ぬような事があっても天国に行くなら心配しなくていい。ただ地獄に行くようなら昔の仲間と握手するのに忙しくなる。そう考えると心配する暇なんかないだろう・・・。

イングリッシュと絶えず対峙してきたアイリッシュの歴史がそう云わせるのかとも思ったが、素朴で世俗的な慣わしなのだろう。石を擦っていると、荒涼とした大西洋とコネマラ国立公園の美しい風景が蘇って来る。

Wednesday 30 July 2014

アイルランドのゴルフ旅

今年の全英オープンゴルフは、アイルランドのマッキロイが優勝した。地元の新聞は、グローリーローリー(Glory Rory)と称賛していた。母親と抱き合う”勝利の息子”の写真が一面を飾り、父親も賭けに勝利し17万ドルを手にした。

そんな中、この夏休みはアイルランドの田舎を旅した。今度で3回目、緑豊かな風景とケルトの遺跡探索は何度行っても飽きないものがある。例によってレンタカーの後部座席にゴルフバックを積み、ぶらっと立ち寄るゴルフは適度な運動になる。どこも一見さん歓迎なのが快い。そして終わってからのパブ、落ち着いた雰囲気の中で味わうギネスやエイルは最高だ。

このゴルフ&ビールの旅、初っ端は南の港町コーク(Cork)のダグラスゴルフクラブだ。練習グリーンで順番を待っていると、年配の人が話しかけてきた。「私はこのクラブに入って59年になる」と、ボールを10個ほど持ってアプローチをしていた。ゲール語が混じっているのか、ただでさえ聞き辛い英語が余計分からない。パークランドと称するコースはリンクスと違って日本のそれに似ている。フェアウェーは広いが、一度ラフに入るとまずボールは見付からないのが特徴だ。コースが交差していたり、動物の糞が落ちている。


Thursday 17 July 2014

日清紡のTVコマーシャル

日清紡のTVコマーシャルで犬が出てくる。卓球をやったり、あっち向いてホイ!のジェンケンを、人が法被の中に入ってやっている。犬は全くジャンケンと合っていない、その何とも不完全な処が面白い。

ある人がこの犬種は頭が弱いと言っていた。どっちの犬か忘れたが、敢えてそうした犬を選んだのかもしれない。人間もそうだが、犬はやはり血統が大事だ。血が混じるとやはりおかしな犬が出来る。典型的なのは我が家のラブである。

その昔近所の老夫婦がやってきて、掛け合わせて欲しいと言われた。当方はオスなので「どうぞどうぞ・・」と快諾したところ、9匹のラブが生まれた。その一匹が現在のラブだが、何度教えても覚えの悪いのにある時気付いた。以後何かあれば片親のせいにしている。とはいえ、馬鹿なりに可愛いいところもある。

Wednesday 16 July 2014

福沢諭吉の心訓

福沢諭吉の心訓というのがある。全部で7か条あり、その1は「世の中で一番楽しく立派な事は一生涯を貫く仕事を持つ事です」から始まり、「世の中で一番寂しいことはする仕事の無い事です」、「世の中で一番悲しいことは嘘を付く事です」、「・・・醜い事は他人の生活を羨む事です」と続く。

永年これを書いた盾を机上に飾っておいた。如何にも独立自尊を謳った福沢らしく、他人の視線を気にせず、思った道を真っ直ぐに歩けと言っているようで気に入っていた。ところが友人から、それは福沢自身が作ったものではないと言われた。

今更そんなことを云われても困ってしまう。盾は中津の生家で買った物だし、長年それを糧に生きてきた。こうなれば真偽の程はどうでもいい、あまり考えないようにしよう。

Tuesday 15 July 2014

ジャズ仲間の死

最近、とても心に残る話を聞いた。それはジャズ仲間の話だった。

学生時代のジャズ同好会の仲間が、癌に掛かり余命いくばくとなった。彼は奥さんとアメリカに住んでいた。そんな噂を聞き付けた昔のジャズ仲間が、遥々彼の処に駆け付けることにした。前もって彼のために作った曲を送り、これを一緒に演奏しようと準備した。アメリカに着いた仲間達は彼の家に泊まり、居間で一緒に演奏した。そしてその翌日、彼は息を引き取ったという。亡くなる前に、奥さんには「もういいだろう・・・」と語ったらしい。新曲の練習で疲れたらしいが、最後の力を振り絞ってトランペットを吹いたという。

その話を聞いて、以前このブログでも書いた「ハロルド・フライの予期せぬ巡礼(The Unlikely Pilgrimage of Harold Fry)」の小説を思い出した。最初に読んだ時は、一体何が面白いのだろうと思った。でもこうして似たような死に直面すると、とても深いものがあったと思ってしまう。中々その時になってみないと見える物も見えて来ない。

Sunday 13 July 2014

入り込んだミツバチ

使っていない雨戸の隙間から、ゴーゴーという音がした。最初はファンでも廻っているのかと思ったが、それにしても凄い音だ。恐る恐る中を覗くと、何と大量の虫が群生していた。

良く見ると、どうやらミツバチらしく、破れた穴から入って来たようだ。ビックリして殺虫剤を吹き付けると大変な騒ぎになった。穴から出ていく者もいるが、殆どは重なり羽を鳴り続けている。数時間経ってやっと物音が鳴り止んだ。早速大工を呼んで雨戸の修理を頼んだが、大工はミツバチを飼っているという。「お客さん、早く行ってもらえれば俺が貰いに来たのに。掃除機で吸い取って持って帰ったのに」と言われた。

暫く前だが、ミツバチが姿を消したというニュースを見たことがある。あまり気にしたことはなかったが、居るところには居るもんだ。大工から「それは日本ミツバチだ、刺さないよ!」と言われ、何か複雑な心境になった。

Thursday 10 July 2014

台風ネオグリ

史上最大の台風が日本に上陸した。既に長野では多くの死傷者が出たらしい。寄りによって宮古島で遊泳していた人が亡くなった。

その台風8号、名前はネオグリ(Neoguri)と言うらしい。明日は関東にやって来ると言う。どうせ明朝は電車も止まるだろうと、思い切って飲んで帰ると電車はガラガラだった。やはり用心深い人は早く帰宅したようだ。上には上がいて、夕方から奥さんに「ツタヤでビデオを借りて来い!」と電話している人もいる。

ただ気象庁のコンピューターは最新鋭、過去に見えないものまで計算されてしまうから充てにならない。加えて防災大臣の「空振りしてもいいから警報は早めに!」で、過大に予報されている向きもある。こういう時に限って晴れてしまう、そんな気がする。中々思うように行かないのだ。

Wednesday 9 July 2014

エルサルバドルの女性

「世界ナゼそこに?日本人」というTV番組がある。先日もエルサルバドルに長年住んでいる女性が紹介されていた。日本人が苦手な海外一人暮らし、先駆的な人達には本当に大きな勇気と希望をもらう。

そんな中、最近アフリカを歴訪した友人がいた。空港に着くと防弾ガラスのクルマが待っている。自動小銃を携えたガードマンが助手席に乗りホテル前付き添う。一口に防弾ガラスの車と言っても、トヨタ車でもアメリカまで持って行って加工するらしい。もっと驚いたのは現地で働いている日本の若い女性達だった。病院、学校などで多くの日本人女性が頑張っている。衛生面で大変な処で、勿論治安を心配しながらだ。

昔、ブルギナファッソの病院で働いていたという女性に会ったことがあった。思わず、それってどこの国?って聞いてしまったが、写真を見せてもらうと藁葺きの小屋だった。この逞しさ、先のエルサドバドルに娘を送った親も、「苦労しているからこそ生きている・・・」と話していたのが印象的だった。これからこの逞しさ、強かさ、そして大きなハートが大事になってくる。

Tuesday 8 July 2014

犬のトレーニング

我が家にゴールデン・レトリバーがやってきて2年が経つ。立派な犬になって欲しいと、当初はパーフェクトドックという、アメリカの訓練用DVDを買って来た。犬に教えるにはまず主人からと、繰り返し見て始めたが、中々犬が言う事を聞いてくれない。

そこで暫く前から訓練士を呼んでトレーニングを始めた。週3回、朝に迎えに来る。最初は中々効果が分からなかったが、先日近所の人が来て、「お座り!」と言うと、さっと止まって従ったのには驚いた。やっとトレーニングの甲斐があったと嬉しくなった。

訓練のコツは飼い主が動かないで、犬を落ち着かせる事だという。そして何のことはない、ご主人の言う事が出来ると、ご褒美をあげることだ。確かにポケットにビーフジャーキーを偲ばせると目に色が変わる。人間もそうだが、何事もお金と時間が掛かる。

Sunday 6 July 2014

ジャッカルのルート

また週末は雨だ。家でゴロゴロ、TVを点けると「ジャッカルの日(The Day of the Jackal)をやっていた。フレドリック・フォーサイスの名作、60年代のドゴール暗殺をテーマにした映画だ。今まで何度か観たが、念入りに準備されたストーリーは見ていて飽きない。

今回面白かったのはそのルートだ。イタリアで銃の準備を整え、同じコート・ダ・ジュールのニースに泊まる。ホテルは有名なネグレスコだ。そこを出発、アルファロメオに乗って一路パリを目指す。途中香水の町グラース(Grasse)で泊まり、Digne, Siesteronを経てGapに抜けようとする。このルートはナポレオンがエルバ島から脱出した際に使った、所謂ナポレオン街道である。

追跡する警察を上手く巻きながら、シャトーホテルに泊まる。そこで未亡人と知り合い彼女の家まで行ってしまう。最後はTulleという駅から列車に乗リ替えパリに向かう。どこかと思って調べてみたら、何とリモージュの地方であった。先のシャトーホテルから西に500Km以上も遠回りしたことになる。

Saturday 5 July 2014

デミトロフのバックハンド

ウィンブルドンも佳境に入ってきた。今年の注目はブルガリアのデミトロフ(Grigor Demitrov)選手である。昨夜は準決勝で残念ながらジョコビッチに惜敗してしまったが、そのプレースタイルは見ていて快い。

特に最近少なくなってきたバックのシングルハンドがいい。解説の土橋さんがリトル・フェデラーと言っていたが、体を使ったバックドライブの振りが豪快だ。スライスとの使い分けも旨いし、かつてのサンプラス、エドバーク、女子はエナンを彷彿させる。シングルハンドはリーチが長く見えるので、何より華麗だ。

決勝はフェデラーとジョコビッチになった。フェデラーは2年振り8回目の優勝が懸かっている。優勝回数がサンプラスと並んでいるだけに、勝てば歴代トップになる。年齢的にも最後のチャンスかも知れない。明日が楽しみだ。

Thursday 3 July 2014

消えゆくアクアゼロ

この夏はアサヒビールの「アクアゼロ(糖質ゼロ)」を愛用している。所謂第3のビールである。透き通った水質は発泡酒のような違和感もなく、何と言ってもビールの半分の価格が有難い。ところがそれが最近店頭から姿を消しつつある。

どうやらサッポロビールの糖分ゼロの影響のようだ。サッポロは税当局からクレームが付き、100億円を超える追徴懸念が出てきた、株価もお蔭で散々だ。企業が長年努力し壁を越えたかと思ったら、超えた壁の高さが低かったと修正するようなものだ。正に後出しジャンケン、関係者は何とも居たたまれない気がするだろう。

そもそも日本のビールの税金は高過ぎる。酒税は330mlの缶ビールで37%、大瓶なら45%もする。ビール大国のドイツですら20%、アメリカに至っては14%だ。先の消費税もそうだが、消費が拡大すれば税収も自然と伸びるのに・・・。元より日本は湿度の高いアジアの一国、夏の水分補給はヨーロッパの比でない。ビール会社の地道な努力とそれを待っている庶民、そのセンチメントを大事にして欲しい。

Tuesday 1 July 2014

ジェムソンのウィスキー

W杯でウルグアイの選手がイタリアの選手に噛み付いた。前科もあるらしく、暫く出場停止になった。人を噛む性癖は身近にも多く、酔っ払いに襲われ思わず相手の耳を齧ってしまった人もいた。

噛むだけならまだいいが、人肉を食べるカンニバル(Cannibal)もいる。今日のル・ポアン誌にウィスキーのジェムソンの話が出ていた。ジェムソン家のジェームズは、1800年後半にアフリカで失踪したリビングストーンを探すスタンレー隊に参加した。場所はベルギー領のコンゴ、人食い人種がいると聞いてその村に行ってみた。言われるままに金を出して11歳の少女を買うと、村人は彼の目の前で少女を殺し料理したという。何とも背筋が凍る話だが、彼はその光景をスケッチしたという。

アイルランドを代表するウィスキーのジェムソン(Jameson)は、殺し屋が一仕事やる前に引っ掛ける、IRAの小説では無くてはならない飲み物だ。その格言は「よそ者はいない、二度と会えない友がいるだけだ」。生々しい歴史とスピリットが染み込んでいる。