Monday 15 November 2021

軽石とストロンボリ島

小笠原諸島の海底火山噴火で、大量の軽石が発生し問題になっている。押し寄せる軽石に埋め尽くされる浜辺や、船の運航に支障を来すなど多く被害が出ている。軽石を食べた魚の死骸を見るにつけ、自然の輪廻を感じるのであった。 

そんな矢先、NHKでイタリアのエオリエ諸島(Isola Eolie)を放映していた。「何処なんだろう?」と思って調べてみたら、何とシシリア島の近くだった。一帯は活火山が連なり、その一つのブルカーノ島(Vulcano)は噴火を意味する「ボルケノ(Volcano)」の語源というから正に噴火のメッカである。何年か前にシシリア島を一周した時、ヨーロッパ最大のエレナ火山に恐れをなし遠回りした事を思い出した。

そのエオリエ諸島であるが、テレビのカメラが海に入ると海底からシャンパンのような泡が海底から湧き上がっていた。問題の軽石も浮き上がっていてそれは美しい光景だった。ストロンボリ(Stromboli)という島も紹介され、火口近くまで一般人が見に行ける恐ろしい観光用のルートがあった。「あれ?どっかで聞いた名前だな?」と思ったら、何と昔見たイングリッド・バークマン主演の映画「ストロンボリ、神の土地」の舞台であったから驚きだ。

映画は、島の漁師と結婚したイングリッド・バークマン演じるリトアニア生まれの女性が、島にやって来る処から物語は始める。ただ彼女は漁村の貧しさと孤独に耐えられず、何と島を出ようと試みる。夫を置いての逃避行の末、最後はストロンボリ火山の灼熱に圧倒される処で映画は終わる。「カサブランカ」のバークマンとは全く異なる、罪を贖う女のイメージであった。

処で同じ頃放映された「苦い米」や「揺れる大地」などのイタリア映画は、その貧困度が当時の日本とよく似ていて親近感を覚えるのである。ストロンボリの映画では、火山が噴火すると人々は船で海に一旦退避する。その生活振りもとても自然と共存して懐かしさを感じる。

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