Saturday 6 April 2013

アルゴに見る中東の世界

天気も悪そうなので、映画「アルゴ」を見に行った。今年のアカデミー賞作品だけに、もっと早く行きたかった。

舞台は1979年のイラン、パーレビ政権末期の孤立したアメリカ大使館員の物語だ。クリントン政権になって、この秘密作戦が公表されたようだ。それまではカナダが表に立ち、CIAは陰に隠れていた。印象的だったのは、時のカナダ大使夫妻だった。米大使館員を自宅に匿い、一歩間違えば自分たちの命も危なかったのに、正にこれぞ外交官だった。この人達が居なかったら物語も無かった。
 
あれから33年が経った。国を追われたパーレビ国王は、転々としながら翌年に亡命のエジプトで死んだ。時のサダド大統領の庇護だったようだが、その彼も3年後に暗殺された。それを引き継いだムバラク大統領、彼も昨年のクーデターで追われた。
 
見ていて、1986年にマニラで起きた三井物産の若王子さん事件を思い出した。あの頃日本の大手会社には、アメリカのセキュリティー会社と称した誘拐、テロの請負人が売り込みに来ていた。彼らもひょっとしてCIAのOBだったのだろうか?アメリカとカナダの貸し借りなど、私には計り知れない凄い世界だ。一方でイスラム社会は何時まで経っても血なま臭い。まるで不可逆合金のように、時が経つと曲がった形が基に戻って行く特異性がある。映画を見ていて、改めて中東は全く別物の世界と思うのであった。

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