Thursday 25 April 2013

ミラノの食い逃げ


今まで何が美味しかったかと聞かれれば、迷わずミラノで食べたミラノ風リゾットである。サフランとチーズ風味、たっぷり染み込んだ甘いバターのご飯である。白ワインとの相性も最高、まるで食いしん坊の漫画に出てくるような感激であった。食後に給仕がサービスしてくれたアペレティフも素晴らしく、正に忘れられない夜になった。

ところが勘定の段階になり、クレジットカードを出すとカードは駄目だと言われた。そうこうしている内に人が混み始め、中々お金を取りに来てくれない。痺れを切らして席を立ちレジで待っていると、今度は団体が入ってきてごった返し始めた。待っても待っても無視される。イライラが募りもうこれまでとばかり、そのままレストランを後にした。所謂食い逃げである。そして疚しい気持ちでホテルに帰り、翌日はミラノを去った。

それからまたイタリアの旅を続けたが、その夜のことがどうしても頭から離れない。それもあんなに美味しいリゾットと、至り付くせりのサービスしてくれたのに・・・良心の呵責は日に日に募るばかりだ。結局、旅先から手紙を添えてお金を送った、「悪うございました」と書いて・・・。以来、折角のミラノが遠くなってしまった気がする

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