Thursday, 18 June 2026

将来は課長になる

新聞は随分前に取るのを止めた。その代わりに月1~2回、図書館に行ってまとめ読みしている。パラパラと鳥瞰すると、世相が肌感覚で伝わってくる。

日経新聞の今月の「私の履歴書」は、ケンタッキー・フライド・チキンの大河原毅さんだった。今まで氏をあまり存じ上げなかったが、中々の苦労人で誠実なお人柄が伝わってきた。

履歴の中に、大学を卒業して就職した日本プラント協会の話があった。会社の先輩の結婚式に出て、上司が「新郎は将来、大変優秀な課長になるでしょう」と挨拶した。それを聞いてプロパーの限界を悟り、直ぐに会社を退職したという。人によっては中々出来る事ではないが、その英断がその後の人生に繋がって行った。

個人的にも何度か転職した。滞在の最短は2週間だった。仰々しい面接を経て採用されたものの、仕事は派遣の女の子がする内容だった。「これは駄目だ!」と思ったが、真っ先に頭に浮かんだのは、そこを紹介してくれた元上司だった。「彼のメンツを潰してはいけない!」と思った。

事情を話しに行き、「でもご都合が悪いようでしたら1年は頑張ります!」と言った。すると「そんな事は気にするな!嫌ならいつでも辞めたらいい、又どっか紹介するから」と逆に励まされた。その男気にすっかり感心したのは言うまでもない。

そもそも仕事は楽しくないと続かない。だから会社に不平ばかり言っている人を見ると、「そんなに嫌だったら、違う仕事を見付ければいいのに」と思ってしまう。実際は妻子やローンを抱えるとそうもいかなのだろうが、所詮は一度キリの人生である。

尤もこれは「私の履歴書」に出て来るような人が話すから説得力がある。凡人だとそうは行かない・・・。

Tuesday, 16 June 2026

日銀の利上げ

 日銀が政策金利を0.25%上げて1%にした。1995年以来31年ぶりというから驚きだ。金利が数パーセントの時代に育った者にとっては、1%でもまだ低い気がするのに、政策転換のような騒ぎである。

そう言えば昔の指標は公定歩合だった。それが廃止されて政策金利になったとは、恥ずかしながら最近気が付いた。

日銀が利上げに慎重だった理由に、よく日銀の債務超過の話がある。河村小百合さんの「日本銀行 我が国に迫る危機」によく解説されているが、アベノミクスで買い上げた大量の国債やETFの評価損の問題である。債務超過になれば普通の企業なら倒産である。流石にお札を刷っているのも日銀だからそんな事にはならないだろうが、気になる今後である。


そんな最中、植田総裁が(2週間とはいえ)入院した。まさか苦渋の選択から来る心労でないだろうが、このタイミングに心配になる。そう言えば最近、元総裁の白川氏の存在が目立つ。立派な「通貨に信用を刻印する」の出版や、TVにもよく登場される。

白川さんは安倍首相の掲げた「2%の物価目標」とそりが合わなかった。彼は生え抜きだから、列記としたインフレファイターである。当時それが原因だったと外から見てても分かった。そして代わって登場したのが黒田さんである。異次元の金融緩和(世に言う「黒田バズーカ」)を行い、株価は上がりデフレも終わった。

しかし気が付いてみればその負の遺産が、今の日銀の足かせになっている。白川さんの復活はそんな揺り戻しと関係している気がするし、両者の間に入って後始末をする植田さんは気の毒である。

1%になるとは言っても、アメリカや英国は3.75%、EUは2.15%だから、まだまだ開きは大きい。だからそう簡単には円高に戻るとも思えないし、市民生活への影響が気になる。

Sunday, 14 June 2026

セキレイの巣作り

6月は衣替えの季節である。昔はこの時期、冬物の背広やオーバーをクリーニングに出していた。今は一年中ジーンズで過ごしているから、そんな煩わしさもない。改めて「社会生活って大変だった」と思う。

衣替えは人間だけでなく、犬も同じである。冬用のモコモコした毛が一気に生え変わる。毎日の毛すきが大変だが、庭に落ちた毛は小鳥たちが拾っていく。

巣作りを始めたのだろうか、毎朝やって来るセキレイは暫く木の上から見ていて、大丈夫だと分かるとサッと降りてくる。口一ぱいに抱えて持って行く姿は微笑ましい。「フカフカした最高の巣になるだろう!」と、エコをやっている気持ちになる。

処がそのやって来た小鳥が、時としてガラスに激突して失神する。一度は暫くして意識が回復し飛び立って行ったが、2回目はショックで死んでしまった。ベランダにいつまでも置いておくわけには行かないから、庭に出すと翌朝羽だけが散らばっていた。跡形もなく、自然界の厳しさが伝わってきた。

カラスも巣作りをする。ただ此方は可愛くない。随分前だが、高いスギノキの先にハンガーを集めては巣を作り出した事がある。危ないとは知っていたが、防災用のヘルメットを被って撤去した。頭上ではそれを見ていたカラスが、カーカーと旋回しそれは怖かった。

翌年から区役所に頼むことにした。ただ係員の人は、撤去は卵が孵ってからにするという。産卵時のカラスは警戒心が強いが、雛になるとそれも和らぐらしい。まだ毛が生えていない雛を持って行く光景は、あまり気持ちのいいものではなかった。

Friday, 12 June 2026

イランからの脱出

アメリカとイランの紛争が長引いている。そして今回はイスラエルもいる。有史以来のキリスト教とイスラム教の対立、それにユダヤ教も入った三つ巴の構図に、中々出口が見つからない。

そのイランだが、現政権は1979年に起きたイラン革命を継いでいる。当時の様子は、映画「アルゴ」などでその混乱が伝わってきた。そしてもう一つ、此方は小説だがケン・フォレットの「鷲の翼に乗って(On Wings of Eagles)」もあった。


物語は、イランと提携していたアメリカの保険システム会社が、革命に前後して社員が拘束される処から始まる。目的は膨大な身代金である。

幸い革命のドサクサで収容所からは脱出出来たが、隣国トルコまでの約2500㎞を陸路で渡らなくてはならない。途中シャーとホメイニの写真を状況によって使い分けながら、何とか脱出に成功するのだが、カーター政権が残留米国人の救出に失敗した矢先だけあって、それは奇跡だった。

改めて当時を振り返ると、革命の成功はホメイニが帰国してから、前政権との内戦を経て成し遂げられた事が分かる。だから今回もハーメネイ師殺害の前に、次期指導者を送り込んで内戦に持って行けば良かった。そうすれば少なくても、今のようにアメリカと直接対立する事は避けられた。

余談だが、多額の身代金の受け渡しは意外と難しい事が分かった。現金ではとても用意出来る額でない。すると送金になるが、イランでドル決済出来る銀行は限られている。有事ともなれば取引に制約が掛かるし、かといって事務所の先取り特権行使は時間も掛かる。どこの世界も同じで、犯人は要求してもカネの回収に手こずるのである。

Thursday, 11 June 2026

ランスロットプロジェクト

 中世の本を読んでいたら、アーサー王伝説を思い出した。

アーサー王はウェールズ出身で、12人の円卓の騎士と共に英国を統一した人物として語り継がれている。一説には架空の人物とも云われるが、ケルト文化の象徴として、大陸も含めて彼方此方に足跡を残している。

その一番の腹心が、ランスロット(Sir Lancelot)」という若者だった。腕が立ちしかもイケメンで、アーサー王の右腕として活躍した。

処がランスロットは、若い頃からアーサー王の王妃と関係を持っていた。今風に云えば不倫だが、最後はそれを政敵によって密告され、王国は崩壊するのであった。

昔ドイツの会社と、アライアンスの仕事をしていた時があった。「日独で世界のシェアーを取りに行こう!」と、会議や研修を重ね親密な関係構築に努めた。中でも総勢100名の温泉合宿は、正に裸と裸の付き合いで絆は強まった。

ただある時、ドイツ側が付けたプロジェクト名が「ランスロット」だと分かった。殆ど気に留める人はいなかったが、個人的には内心「これは日本を寝取る作戦か?」と疑った。暫くしてそんな心配は思い過ぎだと分かったが、一時はヒアっとした。

Wednesday, 10 June 2026

ケン・フォレットの中世シリーズ

先日、今ベストセラーになっているマーク・グリーニーの「レッドメタル」を読んでみた。アフリカに眠るレアアースを巡り、米ソが争奪戦を繰り広げる話である。ただとても専門用語が多すぎて、途中で止めてしまった。ITを駆使した現代の戦争は、アナログに慣れている世代には消化出来る域を超えている。

左様に近代のアクション小説は人間味に欠ける。かと言って、ジャック・ヒギンズやアリステラ・マックリーン、フレデリック・フォーサイスやクライブ・カスラーなど、ひと世代前の面白そうな小説は殆ど読んでしまった。人生の楽しみもそろそろ底を着き始めたかと思った。


そんな矢先、そういえばケン・フォレットの中世モノにはまだ手を付けていなかった事を思い出した。氏の「針の眼」や「レベッカへの鍵」、「ジャックドウ」や「ペテルスブルグから来た男」など、20世紀を舞台にした小説は大のファンだった。数年前の「ネバ―」も面白かった。

一方英国の中世を扱った作品は、舞台に馴染みない事や、原書で読むには難解な用語が多すぎて無理だった。処が本棚に眠っていた「大聖堂(The Pillars of the Earth)」を読み直してみると、これが中々良かった。文庫で三冊、約2000頁の大作だったが、一気に読んでしまった。

特に、僧侶と城、教会の関係、それに縛られる男女と子供達の話など、12世紀とは思えない現実味があった。これを契機に、まだ征服していない中世シリーズにチャレンジする楽しみが出来てきた。

Thursday, 4 June 2026

阿部監督の逮捕事件

先日、巨人軍の阿部監督が逮捕され退団する事件があった。娘さんが「父から暴力を受けた」と児童相談所に連絡すると、警察が家にやってきて逮捕に至ったという。詳しい事は分からないが、立件もしない即逮捕に違和感があったし、何より一番驚いたのは当の娘さんだったというから可笑しな話である。

これで逮捕されるなら、世のお父さんの殆どが牢屋に入っているだろう。普通なら、家に来た警察官はまず「どうしました?」と聞く。娘は「父に倒されましたがもう大丈夫です、有難うございました」、お父さんも「色々お騒がせしてすみませんでした、以後気を付けます」で済む話である。

それがここまで発展したのは、法律の一人歩きと関係している気がする。法が家庭内の人間関係を阻害するなら本末転倒である。コンプライアンスの順守やAIとの付き合い方も同じであろう。これを機会に専門家で議論して欲しいと思う。

余談だが、オーストラリア入国にはETA(VISA)の申請が必要である。その質問事項の中に、「家庭内暴力(Domestic Violence)がありましたか?」がある。もしそれにレ点を付ければ、多分引っ掛かるだろう。海外渡航にも支障が出るし、これから思っている以上のダメージがある気がする。