Friday 31 March 2017

毛沢東の主治医

今から20年以上前の本だが、毛沢東の主治医を務めた李志綏(Dr.Li Zhisui)の書いた「毛沢東の私生活(原題:The Private Life of Chairman MAO)」は中々面白い本である。一介の医師が登用され、身近に見ていた権力者の素顔が遺憾無く開陳されている。普段は外から見る毛沢東だが、一介の人として等身大で語られているから親近感もある。

話題も豊富で、北京に公開されている毛沢東は死後レプリカ用に作った蝋人形だったり、ルーマニアのチャウシスクから贈られたブランディー入りのチーズや、肥満の原因になった脂肪のある豚を最後まで食べ続けていたなど、今更だが当時を知る貴重な情報だ。よくこんな事の公開が許されてたのか、寧ろ心配になった。4人組の1人である江青の冷たい素顔もリアルであった。

独裁者と主治医と言えば、有名なのはヒットラーのモレル(Morell)医師である。結局は藪医者との評価で、劇薬を長年投薬した結果、ヒットラーが精神不安定になったのが世の定説である。幸い彼は難を逃れたが、朝鮮最後の李王朝に嫁いだ日本からの御妃を巡り、その主治医は謎の死を遂げたりした。歴史の裏方として医師の影響力は計り知れないが、一方で権威に近づいたリスクと裏腹なのが古今東西である。

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