Wednesday 17 April 2019

シテ島よもやま話

火災に遭ったノートルダム寺院に、早速多くの義援金が寄せられているようだ。Notre Dameは英語でOur Ladyである。聖母マリアみたいなニュアンスなのだろうか、今回の消失を通じて、人々は改めてそこがフランス人の心の拠り所だった事に気が付いたようだった。焼けた屋根に入った事は無いが、昔見た映画「ノートルダムの背むし男(原題:Notre-Dame de Paris)」で出て来た。孤児だったカジモドがジプシー女を匿った場所で、上からセーヌ川を見下ろすと随分と高かった記憶がある。

そのシテ島だが、パリに20ある区の第1区である。区はここから渦巻き状に番号が配番されている。中心の中心だから家賃も高いので普通の人は住まないが、岸恵子さんが昔住んでいたようだ。盆栽やウサギなどを扱う有名な市場もあるので、生活は意外と便利かも知れない。多くの映画の舞台にもなっている。シテ島に掛かるポンヌフは、名前こそ「新しい橋」だがパリ最古の橋である。ポンヌフの恋人(原題:Les Amants du Pont-Neuf)や、最近ではボーンシリーズで、ジェイソン・ボーンが追手と待ち合わせる場所に指定していた。彼はポンヌフの対岸に立つデパート「サマリテンヌ」の屋上から見張り逆探知していた。

またマリーアントワネットが収容されたコンシエルジェリーも健在である。中には彼女が過ごした部屋が保存され人形まで置かれているからリアルだ。彼女はそこから馬車の荷台に乗せられコンコルド広場に連れ行かれ、ギロチンの露と散った。王妃夫妻が処刑された後、残された一人息子がいた。牢獄の生活が過酷だったのか、暫くして早世したという。ただ生きていればルイ17世だから、生存の噂は絶えなかったようだ。そんな事を対岸の地下バー「Le Caveau des Oubliettes(忘れられた納骨堂)」で飲みながら想像すると楽しい。今では観光客向けに中世の歌を聞かせてくれる場所である。フランス革命の時に地下牢だったこともあり、少し怖い雰囲気がある。

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