Thursday 16 January 2020

ハントケ氏のノーベル賞

先日、イランのミサイル誤射で、ウクライナ機が撃墜される事件があった。イランは当初関与を否定したが、3日後には認めざるを得なかった。結果的には紛争の長期化が避けられたが、逆に政府の立場は弱くなった。

思い出したのは、コソボ紛争の時に起きたNATOによるベオグラードの放送局の誤爆である。4年前にセルビアを旅した時、その半壊したビルを見に行った。今でも当時のまま保存されていて、広場には犠牲になった人々の写真が飾られていた。セルビアは兎角残虐なイメージがつき纏うが、こうして被害に遭った様子を目の前にすると、そんな気持ちも吹っ飛ぶというものだ。

一方ボツニアの田舎に行くと、セルビア軍に依って無差別に殺戮された人々の広大な墓地もあった。所謂ジェノサイト(民族浄化)で、ワシントンのアーリントン墓地のように一面碑が敷き詰められ、その数の多さに驚かされた。その指揮を取ったのが、ミロシェヴィッチ前大統領である。裁判で有罪になった人だが、2019年のノーベル文学賞を取ったペーター・ハントケという作家は、NATOを批判しミロシェヴィッチを擁護しているという。西側にいるとマスコミが偏りがちになる事は覚悟しているが、ハントケ氏が受賞した背景は何だったのだろう?ただでさえも複雑で分かり難いバルカン半島である。旅の続きで、その辺のカラクリを知りたくなった。

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