Saturday 22 February 2020

イタリア人の町

ある日、ケアンズから南に80Km程行ったイニスフェイル(Innisfail)という町にゴルフに行った。管理人のおじさんに$20を払うと、「いつでも出ていいよ」と言われた。暑いのでゴルフをしている人は皆無だから、「そりゃそうだよな!」と思った。ところがフラフラになりながら18ホールを歩いて廻り、「さー、ビールだ!」と思っていたら、何とレストランの鍵が閉まっていて誰も居ない!これには参ったが、そのいい加減さがまた田舎の倶楽部らしかった。

仕方がないので、近くのレストランに行った。西部劇の町を思わせるような木造のバルコニーの扉を開けると、そこは古めかしいパブだった。メニューがよく分からなかったので、適当に頼むと薄いステーキが出て来た。それとビールで一息ついていると、地元の若者が入って来た。平日だと言うのに昼からビールを飲んでいる。見た感じ不良っぽい顔立ちで、ちょっと英国系のオーストラリア人とは違う雰囲気が気になった。そう言えば、料理を運んだおばさんも小柄で髪が黒かった。後で分かったのだが、この町は1920年代にイタリアやギリシャから移民が入ってきたらしい。そのためイタリア料理が美味しいという。

思い出したのは、昨年訪れたカウラ(Cowra)の収容所である。カウラには戦時中、日本人捕虜の他にもイタリア人捕虜が収容されたいた。日本人捕虜は思い詰めて脱走を試みたが、イタリア人は平然と終戦を待っていたという。その中には戦後も国に帰らずにオーストラリアに定住した人もいたと聞いていたので、話が繋がった。オーストラリアの地名は、最初に移り住んだ漁師や農民の名前を受け継いでいる処が多いが、殆どがイギリス系である。イタリア系はマイナーで、今でも人口の4%程度に過ぎないが、こうして生に触れると歴史を感じるのであった。

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