Friday 9 October 2020

妻のトリセツ考

日本学術会議の会員選考を巡り、政府が一部の推薦を拒否したと野党が騒いでいる。雲の上の世界の話なので良く分からないが、政府の機関なら当然の気がする。世の中で不採用の理由を尋ねる応募者はいないだろうし、仮にいても採用側は応える義務がないのがは常識である。ところでそのコメントに、菅総理が俯瞰的に判断したという言葉を使っていた。俯瞰的という言葉は安倍前総理も良く使っていたが、中々いい表現だと思っていた。ところが暫く前にベストセラーになった「妻のトリセツ」の中に、それは男性脳の世界だと書いてあった。
著者の黒川伊保子さんによると、男の子は生後8カ月で3mの俯瞰があるそうだ。俯瞰とは鳥の眼で捉える目線だが、これが女の子にはないそうだ。一方、女性にあるのは感情と共感という。やや不謹慎な表現だが、昔から「男は頭で女は子宮で考える」と言われて来たのに似ている。記憶を辿る時も、男性は行動の文脈から紐解くが、女性は感情の連鎖が基になる。だから果たして総理の言葉が上手く伝わったのか、甚だ疑問になったのである。

「妻のトリセツ」は1時間程で読める面白い本だ。結婚記念日に妻にプレゼントする時は、何か物語が付くといいと言う。物語は過去の記憶を呼び起こす効果があるからだ。確かにこれは女性に限った事ではないが、行為に脈絡が付くと重みが増す。また記念日に食事に行く時も、前もって準備の時間を取るのがコツだという。女性は何を着て行こうかと考えている内に、あれこれ楽しい記憶が蘇るからだ。その他にも、女性は話にオチを求めないとか、怒りは期待の裏返しなど、言われてみれば思い当たることばかりだ。ただどれも尤もだと思いつつ、読み終わる同時にスッと頭から消えてしまうのは何故だろう?

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