Tuesday 21 September 2021

ラドカヌとルーマニア

 先日の全米オープンテニスで、女子は18歳のラドカヌ(Radocanu)選手が優勝した。予選から勝ち上がり、本戦も全てストレートで勝ち、思いっ切りのいいショットと疲れを感じさせないプレーに若さを感じた。英国選手としては、バージニア•ウェード以来の快挙という。

聞き慣れない名前に初めは南米の人かと思った。しかし聞いていると、父親はルーマニア人で母親は中国人という。カナダのトロントで知り合った2人は、彼女が2歳の時に英国に移住したと言う。ルーマニアは昔から国を出て行く人が多かった。映画「カサブランカ」でもカジノに来た夫婦は、アメリカを目指すルーマニア人だった。若い夫が慣れないギャンブルに入る時、幸い店の主人リックに助けられて事なきを得るが、当時はドイツの侵攻が原因で体制派に追われた。

ラドカヌの父親の場合はどうだったのだろう?子供の頃はチャウシスク時代で多くの悲劇があった。人口増加策で親のない子供が街に溢れ治安が悪化したり、独裁の煽りで亡命も増えた。体操のコマネチもその1人だった。母親もどう言う事情で中国を出たのだろう?テニス選手はシャラポワやラオニッチ、嘗てのアガシやサンプラスもそうだが移民が多い。プレーも去る事ながら、波瀾万丈の軌跡の方が気になる。特にルーマニアのイメージは薄暗くて不気味なだけに、ドラキュラのように想像力を掻き立てる不思議な魅力がある。

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