Saturday 23 October 2021

振顫譫妄症ビール

ピンク・エレファントというベルギーのビールがある。名前の通り、ピンクの象がモチーフで象肌の瓶に入っている。飲むとフルーツ風味だが、アルコール度が8.5%もあるのでいつも飲む時には気を付けている。最近は日本でも色々なドラフトビール生産が増えビール党には嬉しい限りであるが、時々贅沢をしよう思った時に手が出るのはこの一本である。


ところが「ピンク・エレファント」とは愛称で、ボトルに付いている正式な銘柄は「Belirium Tremens」である。日本語に直すと振顫譫妄症(しんせんせんもうしょう)と聞き慣れない言葉になる。意味する処は「アルコール中毒による発汗、震え」という。今更だが、よくもこんな名前をラベルに刷り込んだと感心してしまう。

ただベルギーでは今だにビールが修道院で作られている事を思うと、ひょっとして医薬品の一種かとも思ってしまう。普通のビールのアルコール度は5%程度なので、日本なら昔のメチルアルコールに近い。確かにその晩は急に酔いが廻った。

ベルギービールの銘柄は市中に出回るレフ(Leffe)のように、醸造寺院や僧侶の名前を冠するものが多く、ただ中には変なものもある。例えば「酸素効率化ビール(Oerbeer)」、「聖杯(Holly Grail)」、「戦略的核ペンギン(Tactical Nuclear Penguin)」など、ふざけた名前はベルギー出身の女優を捩った「オードリー・ホップバーン(Audrey Hopburn)」や「トランプハンズ(Trump Hands)」などもある。「シトラじっとしていろ(Citra Ass Down)」に至っては訳不能なので、いつか識者に聞かないと分からない。

こう考えると、奇をてらった商業戦略のような気もしてくる。元々湿度が低い国だから、日本の夏の様にガブガブと飲む風土ではない。大事な時に賭ける一杯かと思うと、少し分かってくるが・・・。

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