Tuesday, 10 May 2022

酒紳四戒の聖地

吉田類の追っかけをやっている訳ではないが、番組に出て来た老舗を訪れると感動するから困ったものである。

この冬から春にかけて、二つの居酒屋を訪れた。 その一つは神保町の「双六」である。地下鉄に乗ろうと歩いていると、三省堂の裏路地にちらっと看板が目に入った。「あれ、ここっていつか番組でやっていたよな!」と思って暖簾を潜った。まだ時間も早いので客も疎らだった。小さな店だったが、昭和にタイムスリップしたようなレトロさが漂った。
 
竹を割った座りにくい長椅子に座り酒を頼んだ。常連はさつま無双の熱燗とは後で知った。静かに飲んでいると「酒紳四戒」という双六憲法が目に入った。読むと他座献酬、大声歌唱、座外問答、乱酔暴論と書いてあった。要は「酒は静かに飲め!」と言う事だった。昔通った神楽坂の伊勢藤を思い出した。正に背筋を伸ばして嗜むと、ヒトに品格が伴うから不思議である。

もう一軒は八王子の「多摩一」である。16時半の開店を待って飛び込むと、既に常連さんが飲んでいた。「お亡くなりになったXX先生は・・・」と、どうやら学者仲間の声が聞こえてきた。木造の落ち着いた雰囲気と、ここも静かに飲む客層の良さを感じた。 早速この店の看板酒の「多摩一」を頼んだ。「何と旨い地酒か!」、帰り際に勘定を見て一合で450円なのにもビックリした。

飲む内に次第に込んできたが、常連はやはりこの多摩一から始めていた。帰り際にご主人に「吉田類の番組を見て来ました」と伝えると、主人は「吉田さんは番組の収録が終わると、また戻って来て飲み直していたんですよ!」と教えてくれた。余ほど気に入ったようだが、行ってみてその訳がよく分かった。

処で暫く前だが、学生時代から敬愛するSさんにそんな話をすると、「(サラリーマンを辞めて)まだそんな事やっているの?」と言われた事があった。その時は「確かにそれもそうだな」と思って神妙な気分になった。吉田類もいいが、正直ちょっと複雑な思いの今日この頃である。

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