Wednesday 22 June 2022

Île とisles

中公新書の物語シリーズは出ると必ず買っている。このブログでも何度も紹介したが、外交官の黒川氏の「物語ウクライナの歴史」は大変面白い本だった。同じくジャーナリストだった波多野氏の「物語アイルランドの歴史」も良かった。

ところが押しなべて学者先生の本は詰まらない。それは年表を追っているからである。最近出た「物語スコットランドの歴史」もその典型で、(作者の千葉大の先生には大変失礼だが)余りの多くの登場人物で何が何だか分からなくなった。

学者先生は年表の羅列しようとする余り、メリハリに欠ける。恐らく実社会の経験がないからか、読者が何を求めているのか気が付かないのかも知れない。つくづく膨大な歴史を物語風にするのは難しい作業だと思うが、市井感覚がないと物語にはならない。

そんな中、ひとつ収穫があった。それは「島」という単語である。スコットランドは800以上の島から成るが、島をゲール語でアイラ「isles」と呼ぶ。そう!あのアイラウィスキーの名称である。ふと気が付いたのは、フランス語でパリ近郊の地域圏を指すイール・ド・フランス(Île de France)であった。

イール・ド・フランスはパリ20区の周りに広がる通勤圏である。云わば東京周辺の関東圏にあたる。ゴッホが晩年を過ごしたオーベール・スール・オワーズやモネやピサロのポントワーズ、将又ユーロディズニーのマルヌ・ラ・ヴァレなど、今でも自然豊かな風景がパリ郊外に残っている。そのÎleはゲール語のislesであったのだ。「なんだお前そんな事も知らなかったの?」と言われるかも知れないが、何か嬉しくなったのである。

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