Wednesday 5 October 2022

殺しのテクニック

ロシアでオリガルヒが謎の死を遂げている。銃による自害やビルから転落などその不審死に、秘密警察の影が浮かんでくる。 政敵をどう追い込むか、そのテクニックに迫ってみた。

その一つが捏造である。いい例がスターリンの後継者争いであった。後継の最右翼はNO2のぺリヤだった。彼は秘密警察のトップだったので、フルシチョフなどライバルのファイルを持つ有利な立場にあった。その彼が失脚したのが国家反逆罪であった。罪状は西側との陰謀とスターリンの葬儀時の民衆への発砲だった。どちらも謬説だったが、これが元で即処刑となった。正にミイラ取りがミイラになってしまった。

そういえば反スターリン派や最近の反政府運動の取り締まりも、殆どがこの手口が使われている気がする。伝統的というか、ロシアという国の持つ陰湿な閉鎖性から来るのかも知れない。 

もう一つは緻密な計画性である。フリーマントルの「別れを告げに来た男(Goodbye to An Old Freind)」を読んでいたら、そのいい例が出ていた。物語はソ連の宇宙開発のトップが英国に亡命する話である。彼(亡命者A)の口を如何に封じるか?KGBが考えた作戦は、もう一人の同僚Bを偽亡命させAの居場所を突き止める事だった。英国に入ったBは、Aとの面会を通じて場所の特定に成功した。手法はその晩に見上げた夜空の星だった。宇宙の専門家ならではの天体観測技術だった。Bはその後亡命を取り下げ帰国、Aは刺客によって抹殺された。 

それにしても、ゼレンスキーはプーチンの放った刺客からよく身を守っていると感心する。段々現実と小説が入り混じっている今日この頃である。

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