暫く前だったか、近所で突然樹木の伐採が始まった事があった。ある日突然業者がやってきて工事が始まった。聞くと台風で一本の木が倒れたので、家主が「この際全部切ってしまおう!」と決めたという。そんな馬鹿な!と思ったが後の祭り、その数20本近くはあっただろうか、樹齢100年の高さにして10m程の木々が二日で無くなってしまった。
その時は本当にショックだった。他人の敷地とは言え、長年共にした風景が無くなるのはとても他人事ではなかった。木で家が崩壊しても保険でカバー出来るのに、同じ森を取り戻すには100年掛かるから・・・。
神宮の野球場は六大学の思い出の場であったし、又戦前の学徒出陣式の舞台だった。テニス倶楽部にもお世話になった。20年程在籍しただろうか、学閥社閥が色濃く残っていた場所だった。ラグビー場も寒い日によく通った。それも無くなるのはとても寂しい。
今回の神宮開発は三井不動産がやっている。立派なデベロッパーだし、日本橋に代表される街作りにこれ以上の会社はないだろう。個人的には、ブランドショップで埋め尽くされたビル群は好きではないが、若い世代は満更ではないと聞く。10年もすれば新たな木も成長するだろうし、もうそれを見守るしかない。
正に「老兵は死なず、ただ消え去るのみ(Old soldiers never die but just fade away)」の心境である。
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