Friday, 3 August 2018

コウモリの話

先日の夕方、家の中にコウモリが入って来た。部屋の中を飛び回り大騒ぎになった。その時初めて知ったが、コウモリは音を立てないで飛び回る。それも飛行角度が突然変わるので、中々捕獲できない。どうやったら家から出て行くか?「そうだ暗い所がいいかも?」そう思い、窓を開けると闇に吸い込まれるように出て行った。それにしても気持ちが悪い鳥である。色や顔もそうだが、大きな足で逆さに留まる姿が何とも不気味だ。

それにコウモリは、人の血を吸う吸血鬼のイメージがある。あのドラキュラ伯爵の背後には必ずコウモリが飛んでいた。思い出すのは、2年前に訪れたルーマニアのブラン城、別名ドラキュラ城である。城は15世紀のヴァラド3世の住処である。押し寄せるオスマン軍の兵士を串刺しにした所から串刺し王と呼ばれているが、ドラキュラ伯爵はアイルランドの作家が彼を題材にしたフィクションである。作り話だと分かっていても、世界中から吸血鬼を見たいと集まってくる人が後を絶たないから不思議である。それはサンタクロースのように、子供の時の夢や恐怖を懐かしんでいるのかも知れない。嘘だと分かっていても、大事なのはノスタルジーである。コウモリはその恐怖を煽る大事な脇役である。

今の城には勿論コウモリはいないが、ルーマニアの田舎にはフェニキア人の住居跡が沢山残っていて良く出くわした。遺跡だと思って知らずに入ると、中からコウモリが突然飛び出して来た。かと思えば頭を掠めて又住居の中に戻って行った。そんな原始的な土地柄だったが、雅か自分の家に来るとは思わなかった。

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