Saturday 11 May 2019

アカゲラの死

最近、保護した野鳥が気が付くと無残な姿で発見された。それも立て続けで、1度目は羽を怪我して飛べない鳩だった。役所に聞いても野鳥は世話しないというので、軒先に置いて様子を見ることにした。ところが暫くして戻ると、何者かに喰い千切られていた。こんな事をするのはカラス位しかいないと、日頃からの天敵が一層憎くなった。2度目はアカゲラであった。頭の先が赤いキツツキである。こちらはガラスに衝突し脳震盪で倒れていた。目は閉じていたがピーピーと微かに鳴いていたので暫く回復を待つ事にした。ところがこれも翌朝に見に行くと、羽が辺りに散らばっていて悲劇が起きた事が分かった。

改めて自然界の厳しさを知ると共に、生き物の命の果敢なさに触れた日になった。結構こうした体験はトラウマになる事も多い。若い頃に青山通りを歩いていた時だった。行き交う自動車の様子がおかしいので目をやると、犬が轢かれて倒れていた。既に重症だが未だ生きていた。辛うじて気が付いた車が避けていたが、もはや二度目の事故が起きるのは時間の問題だった。「助けに行かねば・・・」そう思ったが、何故か躊躇してその場を去ってしまった。その後悔が、40年も経っても忘れられない記憶として脳裏に張り付いている。

そう言えば、先日もポーランドの田舎を走っていた時、道路に鳥が歩いていた。「あ!」と思った瞬間、その鳥は飛び上がったが、ほぼ同時に車に衝突して白い羽がパッと舞い上がった。庭のアカゲラもそうだが、鳥の羽は簡単に霧散する。その日も憂鬱な気分になり塞いでしまった。些細な事だが、歳のせいか物のあわれが身に染みる。

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