Wednesday 22 July 2020

ファッションが語る歴史

コロナの影響で、ブルックス・ブラザーズまでが倒産した。昔は仕事仲間も挙って愛用しただけに、時代の流れを感じる。東京女子大の先生が書いた「お洒落名人ヘミングウェイの流儀」にも、ブルックス・ブラザーズが登場する。ヘミングウェイがプロポーズの時に決めた一着だそうだ。

本にはTシャツはヨーロッパの労働者の下着だったのを、アメリカ兵が持ち帰ってファッション化したとか、踵の低いローファーの靴が出てきて面白い。知らなかったがローファー(loafer)の意味は、紐を結ばない処から「怠け者」や「浮浪者」と云う。昔ある女性服装ジャーナリストが、安倍首相が公の場所でそのローファーを履いていたのを見て場違いを指摘していた事を思い出した。そのほかヘミングウェーが愛用したLL Beanの靴やマリンボーダーのシャツ、肝臓を守るための皮ベストなども紹介されていた。イタリア、スペインで戦争に参加し、パリで社交界の華になり、晩年はキューバで過ごす破天荒な生き方には、拘りのグッズが不可欠だったのだろう。

服装の歴史を紐解くと中々面白い。有名な話がジーンズである。イタリアのジェノバ(Genova)港から輸出された処から、ジェノヴァが英語のJeanに転じたとか、生地のデニムも、フランスのプロヴァンス地方のニーム(Nîmes)に前置詞を付けてニーム産になったとか。袖ボタンの由来も、ナポレオンが寒さで鼻水を拭う兵士の規律を正すために軍服に付けさせたという。ただ未だに分からない事もある。スロヴェニアのマリボール(Maribor)という町に泊まった時、中世の女性の鉄製コルセットのオブジェがあった。この町はそのコルセットの産地だったのか?色々調べても結局分からなかった。


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