元駐英大使の林景一氏の「アイルランドを知れば日本がわかる」の中に、バイデン元副大統領の話が出てくる。バイデン氏はアイリランドの移民の末裔で、カソリックで初めて副大統領になったという。若い頃奥さんと子供を自動車事故で無くし、残された子供を男手一つで育て、毎日1時間半も掛けて電車通勤を36年も続けた美談も紹介していた。折しもトランプの対抗馬として注目の最中、急に親近感が湧いてきた。
その彼の祖先を含め、多くのアイルランド人が移民になったのが1800年代半ばの大飢饉であった。主食のジャガイモが疫病に侵された上、イングランドが残ったジャガイモ迄を輸出に廻したので一層食べるものがなくなった。当時を描いた「BLACK47」の映画では、飢餓と戦うアイルランド人の悲惨な状況が再現されている。しかしアイルランドのジャガイモが、昔から主食だった訳ではないらしい。折角なので岩波新書の「ジャガイモの来た道」(山本紀夫著)を読んでみたら、16世紀までは燕麦だったと言う。アイルランドは日本のように海に囲まれた島国である。どうして魚を捕らなかったのだろう?魚を食べて凌いでいたら、JFKもオバマもなかったかも知れない。イギリス料理と言えばフィッシュ&チップスが有名だけに、素朴な疑問が残った。
ジャガイモは、インカ帝国を征服したスペインがヨーロッパに持ち帰ったのが発端で拡がった。スペインからオランダ経由で日本へ来た。知らなかったが、フランスで広めたのがパルマンテェイと言う人で、バスティーユ近くの地下鉄駅の名前は彼だった。たかがジャガイモされどジャガイモ、「このイモ!」など兎角見下される食料だが、人間の歴史そのものだ。それにしても、岩波新書の著者はじゃがいも一筋の研究者、こんな人が居たんだと改めて感心した。
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