Saturday 5 November 2011

クルドの本

小島剛一著「トルコのもう一つの顔」(中公新書)は、とても痛快な本だった。随分前に出版された本だし、著者は言語学者と聞いて余り期待していなかった。一般的に、学者の書いた歴史書は史実の列挙で味気ないからだ。ところがこの本は、出だしからまるで水でも流すようにすらすら読める。言語を専門的にやっている人だけあって文章が練れているし、何と言っても閉鎖社会の内側を紹介した話が面白い。
                                                                    本書はトルコの少数民族、特にクルドの実態がテーマである。ただその研究の仕方が変わっている。例えば何か月も旅するのに際し、肩掛けバック一つという軽装で、多くは野宿である。私も若い頃に良く山で野宿をしたことがある。地面に寝るのは痛いし寒い、真っ暗な中で朝が来るのが待ち遠しく何度も目を覚ます。それを承知しているだけに、こういう旅の仕方もあるのかと改めて感心した。

クルド民族は、湾岸戦争の時に山岳地帯に逃げ生活している光景が紹介された。桁違いの生命力であった。本書の続編が出ているというので楽しみだ。

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