Wednesday 28 September 2016

伊勢籐が恋しくて

便利なようでイライラする都会、どうして欲しいかと聞かれれば、迷いなく「静かにしてくれ!」と言いたい。特に電車の車内放送は最悪だ。毎日通勤している人ばかりなのに、次の駅名放送など本当に馬鹿げている。

多くの人が集まる飲み屋もそうだ。3人も集まればテンションが上がり、30分もすれば殆ど奇声に変わる。特に若い人、それも会社仲間だと尚更だ。黙っていると分が悪いのか、我先に話し出す傾向にある。そんな時、静かに飲みたいな・・・といつも心の中で思う。ボソボソと、途中で話が中断して、又我に返って「何を話していたんだっけ?」と会話が再開する・・・そんな間合いの中で飲みたい。

若い頃よく神楽坂に通った。勿論お目当ては毘沙門天の前の路地を入った小料理であった。新政の樽酒が置いてあった。その道すがらに、今でも健在の「伊勢藤」があった。最近でこそご無沙汰しているが、煩い客は追い出されるし、酒も2合までであった。炉端から運んでくる熱燗は風情があったし、何より泉鏡花になったような大正時代の趣があった。今どきそんな場所ってないのだろうか?

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