Sunday 20 November 2022

マリア・カラスの生涯

子供の頃、小遣いを貯めてはクラシックレコードを集めた時期があった。あれは確か東中野の小さなレコード店だったか、ジャケットの美貌に魅せられ歌劇「カルメン」を思い切って買った。三枚綴りで中には写真集も入って、かなり高価だった記憶がある。それはマリア・カラスとニコライ・ゲッタが共演した1964年版の作品であった。

カラスの歌うカルメンは、ドスが効いた太い声域と豊かな抑揚がジプシー女を見事に演じていて、子供心にも虜にさせる魅力があった。特に歌詞のフランス語は完ぺきであった。後で分かった事だが、彼女の日常のフランス語はとても流暢で美しかった。 

そのマリア・カラスをドキュメンツ風にした映画「私はマリア・カラス(Maria by Callas)」が暫く前に上映された。観る機会を逃していたら、先日アマゾンプライムでやっていた。ギリシャ彫刻を思わせる美貌と、人の心に突き刺さる歌声は正に世紀の歌姫で、改めて彼女の魅力に惹かれたのであった。

ただ一方で私生活には恵まれず、長年親交のあったオナシスがJFKの未亡人ジャクリーヌと結婚したのはショックだった。それも本人に言わせれば新聞で知ったというから猶更であった。53歳の若さで亡くなったのも、そうした心労があったのかも知れない。

先日も石田純一氏の元妻、松原千明さんがハワイで亡くなった。こちらも途中から私生活には恵まれなかったようだった。華やかな表舞台とは裏腹に、やはり「女の幸せは男次第」に思いを馳せたのであった。

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