TVを見ていたら、芦田愛菜さんのバルセロナ旅をやっていた。随分予習をしたようで、連れの女優相手に蘊蓄を披露していた。改めて解説されると勉強になった。有名なサグラダ・ファミリアも良かったが、やはりガウディが設計し、晩年の住居として使っていたミラ邸は、彼をより身近に感じる場所だった。
というのも、中公新書の「物語 スペインの歴史、人物編」の中には、ガウディの最後が詳しく描かれていたからだ。これを契機に読み返してみたが、彼はその日、いつものようにサグラダ・ファミリアでの仕事を終え、教会のミサに出てそのミラ邸に帰宅するはずだった。
処が途中で市電に轢かれて3日後に亡くなったのであった。享年73歳、今から99年前の1926年の今日6月10日であった。
病院に担ぎ込まれた時は浮浪者と間違えられた。採食主義者だった栄養不足が風貌に表れたのか、一生独身だった彼の食事は、ミラ邸の守衛の奥さんが三食作っていたという。事故の発覚も、帰宅が遅くなり不信に思った奥さんの機転が功を奏した。
著者の岩根氏は学者だが、当初作家を目指しただけあって、文章にメリハリがありとても読みやすい。前作の「物語スペインの歴史」も、セルバンテスに焦点を充て面白く纏めていた。この物語シリーズは、往々にして年表の羅列で終わる無味な学者が多い中で、「ウクライナ」の黒川氏と並んでいい出来はピカ一と思っている。
因みにサグラダ・ファミリアは来年に完成するという。その奇抜な配色はあまり趣味でないし、塔の材質にはコカ・コーラの空き瓶も入っていて興ざめした記憶がある。ただ聖書に長けキリストの物語を知ると、自ずと見方も変わってくるのである。
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