Saturday, 14 June 2025

偉大な父

先週、長嶋茂雄さんが亡くなった。御年89歳、脳梗塞を患ってから不自由が続いたが、随分とリハビリに頑張っておられた。明るくアグレッシブな性格は多くの人に愛され、国民的アイドルであった。長い間ご苦労様、心からご冥福をお祈りしたい。

その偉大な父の下で育ったのが一茂さんである。父の背中を追って立教から巨人に入った。ただ30歳で戦力外通告を、しかも実の父親から告げられ、暫くして野球を諦めた。

父が社会から評価されるほど、益々小さく感じる自分だったのに違いない。今までよくグレないで来たと思う。最近はテレビで活躍しているのを見るにつけ、やっと自分の居場所を見つけた気がする。

ポルトガルの英雄クリスティアン・ロナルドの長男も先日プロでデビューしたり、松岡修造の息子もアメリカから軽井沢Futuresに参加していた。今はいいが、同じジャンルの父を超えられない時どうなるのか、少し心配である。

一方で全く違う道を歩む息子も多い。アガシとグラフの息子はサッカー選手に、ゴッドファーザーの息子もオペラ歌手になった。この方が伸び伸び生きる事が出来る。

偉大な父から逃れた息子もいた。思い出すのはマッカーサーである。一時は大統領候補にもなった第二次大戦の英雄だが、一人息子は戦争が終わるとジャズのピアニストになった。やがて父親の名前が重荷になり、姓も変えNYの下町に消えて行ったのである。

また古くはロシアのピュートル大帝もいた。ロシアの西洋化の礎を築いた人だったが、息子は病弱で性格も大人しく父と対立した。その父から逃れようと、挙句の果て反旗まで翻したが失敗し、最後は(父に)処刑された。戦乱の世にはよくある話かも知れないが、何故か気になっている。

そもそも偉大な父なんて世間が勝手に付けた形容詞に過ぎない。それなのに実際は中々その呪縛から抜け出せないのである。

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