Thursday, 5 June 2025

天安門とマイケルチャン

昨日の6月4日は天安門事件の日であった。1989年6月4日に、民主化を求める多くの中国の学生が、天安門広場で軍によって弾圧された。

私は丁度、北京への出張を予定していた時だった。Y部長から翌朝電話があり、出張は中止にしたと連絡があったのが昨日のようである。後から聞いた話では、中国各地の駐在員が空港目指して逃げた非常事態であったから、邦人にとっても他人事ではなかった日になった。


その事件を挟んで、全仏オープンテニス(ローラン・ギャロス)が開催されていた。確か4回戦だったか、17歳のマイケルチャンが第一シードのレンドルに勝った試合を見ていた。疲労困憊の少年が、アンダーサービスまで繰り出して接戦を制した一戦であった。夜中まで見ていた記憶があるが、巨人に立ち向かう姿には心を打たれた。

チャンはその後も勝ち進み、決勝ではエドバークに逆転勝ちして優勝を果たした。同世代の中国の学生が天安門で倒れる中、(台湾系とは言え)そのジャンヌダルクのような勇姿は、世界中から称賛されたのであった。

あれから36年経って中国の経済は大きく発展した。ただ一方で締め付けもどんどん厳しくなって、独裁体制も益々進んでいる。

36年と言うと、子供が中年に、中年が老人になる時間軸である。文革を担った紅衛兵も今や70歳代に入っている。親や年長者を批判して、神社仏閣をぶっ壊した世代である。その人達が隠居に入り、何も無かったかのような子供世代がインバウンドで来日して飯を食っている。

最近は歳を取ったせいか、実はそんな独裁でもいいかと思い始めている。中国の体制が崩壊すれば、押し寄せる難民や経済の混乱の方が大きい。所詮統治の話である。そんな他人の国の事を心配するよりも、まず足元の難題の方が気になっている。

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