Thursday 13 December 2018

イギリスの検問所

イギリスのEU離脱(Brexit)が混迷している。2年前の国民投票の結果を受け準備したが、いざ現実となると不安になるのは良く分かる気がする。ただイギリスは大陸でないから、プラスマイナスはプラス、さっさと出て行った方がいいと思う。

そもそもイギリスは、昔から大陸と一線を画してきた歴史がある。EUの前身のEECに加盟した時も、EECが発足してから15年後だったし、統一通貨ユーロにも入らなかった。EUの基本は互助会だから制約や負担が多い。中欧やバルカンを旅すると立派な高速道路が目に付く。きっとEUのお金で作ったものだろうが、負担はイギリスなどの先進国が多い。それから移民の受け入れである。昔からEUに入った人は、ドイツかイギリスに向かうのが定石だった。給料は高いし、社会インフラ、特にイギリスは英語が母国語なのが外人にとって暮らし易かった。その結果、今やロンドンの地下鉄に乗れば、白人より中近東、アジア、アフリカ人の方が圧倒的に多いのに驚く。特に彼らは2世3世だから、移民ではなく列記とした英国人である。BBCキャスターの多様な人種に象徴されているように、嘗ての大英帝国の縮図が今や現実になっている。しかしこのまま放置すればアラブになってしまう!、そんな危惧は誰でも感じている。

ただ離脱すれば不安も多い。その一つが、アイルランドとの国境線である。違法な物流とヒトの出入りを監視する検問所の設置だが、IRAとの紛争の歴史があっただけに、さぞ大変だと想像する。数年前にアイルランドを旅した時、首都のベルファーストから車で30分ほど行ったバンガー(Bangor)という港町に泊まった事があった。週末だった事もあり、市内では昼からパレードがあった。それは村ごとの行進だったが、老若男女がまるで組織化された民兵のようで、部隊を誇示する真剣さが伝わって来た。検問所が出来ると対立も顕著になる。また紛争が始まるかも知れない?そんな事が頭を過る。

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