先日、俳優の田中邦衛さんが亡くなった。「若大将シリーズ」では沢山笑わせてもらい、「北の国から」では何度も涙を誘われた。思えば随分と長い間楽しませて頂いた。心からご冥福をお祈りしたい。それにしても田中さんは若い時から年の割には老けていたので、歳を重ねても殆どその風貌が変わらない不思議な人だった。NHKのアナウンサーをやっているお嬢さんを見るにつけ、立派な家庭人でもあった事が偲ばれる。
そんな懐かしさも手伝って、久しぶりに若大将のDVDを観てみた。何度繰り返して観ても飽きないのは、そこには同じ青春があったからかも知れない。田中さん演じる青大将は御曹司の設定である。大学にはその頃同じように、親の威光を傘にしたバカ息子も多かった。又日本橋の老舗の後継もいた。そんな親近感から特に好きだったのは、飯田蝶子演じるすき焼き屋「田能久」のおばあちゃんである。自分が祖母をとても慕っていた事もあり、孫との関係が蘇ってくるのである。いつも有島一郎演じる久太郎に向かって、孫の味方をするのが何とも快かった。そんな口癖の一つが、「おまえは商業高校出だから視野が狭いね!」だった。孫可愛さから出た言葉だったが、それがその後思わぬ処で裏目に出る事になった。
会社に入って間もなく、その商業高校出の人が上司になったのであった。大学の出身校でも序列が厳しい中、況や高卒しかも商業高校は予想外の遭遇だった。お蔭であまりいい関係が築けず逆に虐められた。あの言葉が心に染み込んでいたから仕方なかったが、やはり辛かった。今ならもっと上手くやるのだが、そんなどうでもいい事を思い出した。
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