Wednesday 28 November 2018

秋の山小屋生活

この秋は、長野の山小屋で過ごしている。朝起きると暖炉に薪を込め、火が温まるのを待ってコーヒーを入れる。水が美味しいから味が違う。朝の日課は犬の散歩である。今年は暖冬というが、やはり山の朝は寒い。ダウンに身を包み眠い目を擦るが、新鮮な空気を吸うと生き返ってくる。朝靄に掛かる日光が眩しい。

天気がいいと、午前中はテニスに行く。東京から移住した人や地元の有志が週4日集まっている。気楽な仲間達で、時間になるとウォーミングアップから、暫くするとダブルスのゲームを始める。2時間休みなしに動き回ると、流石運動した気分になる。愛犬はコートの横で見ている。最初は吠えたが、行き交う人が頭を撫でてくれるので、最近では待つ事にも慣れて来た。テニス仲間は、皆やはり寒い自然の中で暮らしている。こうして人と顔を合わせる事が唯一の温もりなのか、挨拶を交わす笑顔がとてもいい。自然は人を優しくしてくれる。


テニスの後は近くの温泉に行く。無名の鉱泉も多く、そこで一日中過ごすお年寄りに会う。静かな湯に浸かると、適度な疲労感で何とも言えない充実感に変る。すっきりしたところで、昼飯は蕎麦である。新そばのこの季節、きりっと冷たい水で切った蕎麦は格別だ。腹ごなしの後は、冬支度が始まる。暖炉に込める薪の準備は結構大変である。近くの木材置き場に木材を貰いに行ったり、仕込んだ薪を割る。数年乾かしてから斧を入れるが、真っ直ぐ育った木は数回振り下しただけで割れる。しかし曲がった木は中々やっかいだ。それは人間と同じだ!なんて思いながら切っている。1時間ほどの作業が終わる事には汗でビッショリになる。

苦労して仕込んだ薪も、一晩であっという間に燃えてしまう。夜は家の中でも息が白くなる程寒い。石油ストーブもあるが、なるべく使わないようにしている。そのメラメラと燃える火を見ながら飲む酒は旨い。つい時間が経つのも忘れてしまう。時折、外で動物が足音が聞こえる。サル、イノシシ、鹿、犬が敏感に反応する。

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