Sunday 24 July 2022

ガリツィアの日本人

佐々木譲の警察物はあまり読まないが、海外小説はとても面白い。「ベルリン飛行指令」や「エトロフ発緊急電」「ストックフォルムの密使」など、著者はよく調べたと感心する。特に「ベルリン飛行指令」は、ゼロ戦2機で遥々南ルートでドイツまで飛ぶ壮大さが気に入っているし、「エトロフ発緊急電」も開戦間際の緊張が伝わってくる。
  
ふと最近、他に何かないだろうか?と探してみたら、「帝国の弔砲」が出て来た。ロシア革命を挟んで、ロシアに移住した日本人一家の数奇な運命を描いた小説であった。主人公の最後は日本に戻りロシアのスパイとして働くのだが、当時のロシアの様子がよく描かれていて面白かった。 

その中にウクライナのガリツィアが出て来た。今ではポーランド国境に近い南西部の地域は、嘗てはバルザックが恋人を慕い遥々パリから通った時はポーランドの土地だった。そしてそれ以前はオーストリア帝国の傘下にあった。

物語では、駐留するオーストリアの大公を拉致する作戦に主人公が参加した。 ガリツィアには行った事はないが、昔はポーランドやハプスブルグ、最近はやはりソ連の一部だった事がよく分かる。ウクライナになってからの歴史は本当に短いのだった。

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