リスボンのケーブルカーは、日本の都電をひと回り小さくした大きさである。黄色のレトロ感が何とも可愛らしく、16世紀の古い街並みによくマッチしている。だから乗客は寿司詰めでも、遊園地の乗り物に揺られているような感覚になる。
車両は建物に衝突して止まったようだ。そのまま下まで突っ込んでいたら、大通りを走る車を巻き込んだ大事故になっていたかと思うと、それだけが不幸中の幸いであった。
リスボンだけでなく北大西洋に面するイベリア半島の町の多くは、そんな起伏の激しい岩山に築いている。日本人から見ると、それはとてもダイナミックで力強い。岩山は海に向かって落ち込んでいるから、もう後がない感覚である。逃げ場のない土地に住む民族が、海に活路を見出したのは容易に想像できた。
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