先週ルーブル美術館に強盗が入った。犯人はマリー・テレーズの首飾りなど9点を奪って逃げた。被害額は88百万ユーロ(155億円)というから大変な額である。
BBCによると「盗難品は既に分解された」という。だから犯人が捕まっても、原物を取り戻すは難しいと言う。本当に大事な宝石は、フランス中央銀行の地下26mの金庫に移しているらしいが、これから一般展示の仕方も少し変わるかも知れない。
尤もルーブル自体が盗難・略奪品で埋め尽くされているから、同情にも限りがある。有名なミロのビーナスやサモトラケのニケも、ギリシャから持ち帰っている。もしこれが長崎の対馬列島で盗まれた仏像のように、犯人が被害国の関係者だったら話が拗れるかも知れない。
処でパリ郊外のクリニャンクール(Clignancourt)に大きな骨董市がある。高価なアンティックからブロカントと呼ばれるガラクタまで、多くの店が軒を連ねていて、一日居ても飽きない場所である。その市は、別名泥棒市とも呼ばれている。
パリでは泥棒が多いから、いつも「これって盗難品じゃないか?」と疑っている。商品の仕入れは、オペラ座に近いドゥルオー(Drouot)通りにある競売場で行われる。毎日ジャンル別のセリが行われ、中には遺留品を一括出展するケースもある。
誰でも参加できるので、私も何回か手を挙げてみた事がある。落とすと直ぐにその場で支払いを済ませてモノを受け取れるので、とても簡単だ。
その骨董市は蚤の市(marche aux puces)と呼ばれている。正に読んで字の如しである。日本で定着している呼び方も、フランスが発祥のようだ。
