Sunday, 28 December 2025

メリークリスマスは差別用語

師走である。早いもので2025年も残り僅かになってきた。これから恒例の大掃除が始まる。一年のお祓いだが思わぬラッキーもある。

友人のNさんだが、片付けをしていたら亡くなった親の眼鏡が出て来た。随分使い込んで汚れていたので処分しようと思った矢先だった。「ちょっと待って!」と天の声が聞こえたという。駄目元で近所のリサイクルショップに持ち込んだ処、何と60万円の値段が付いた。流石これにはビックリ、昨今の金ブームで高値で売れたのだ。

かと思えば交通事故や殺傷事件など、年末はやたらに事件が多い。年を越すにはお金が要るし寒さも影響するのだろう。人生を精算する気持ちと、新しい年を迎えるハードル感が入り混じる季節である。

それにしても昨今、年末を彩る風情も随分と様変わりしてきた。いい例がクリスマスである。昔は特別の日で、特に若い男女がお互いを確認し合う「踏み絵日」だった。そうとは知らずいつぞやクリスマス明けのランチ時だったか、大手町のホテルから出て来る多くのカップルを見てビックリした事がある。

そのクリスマスも、気のせいか色褪せてTV番組も冷ややになっている。聞くところによるとアメリカでは、「メリークリスマス」は既に差別用語という。イスラムなどの他教徒に配慮して、今では「ハッピーホロデー」が正しいらしい。

そう言えば12月は昔なら、8日の開戦記念日や14日の赤穂浪士討ち入りは定番だった。佐々木譲の「緊急エトロフ電」で真珠湾の出撃前の緊張感を、長谷川一夫の「忠臣蔵」で忠義を確認した日でもあった。残念だがもはやその跡形もなく、随分と違った世の中になってしまった。

Sunday, 21 December 2025

戦う外交官の本

今話題になっている垂秀夫氏の「日中外交秘録」がやっと届いた。注文してから三週間、新刊としては異例の売れ行きで、初版から半年も経たないのに、既に7版になっていた。

高市発言で中国が反発し、折しも中国に関心が集まる絶好のタイミングである。早速読み始めたが面白くて、500頁超の本だったが一晩で読んでしまった。

外交官は兎角、事なかれ主義と思っていた。国益よりも省内の和を優先し、途上国の厳しい生活環境を欧米勤務でオフセットするイメージがある。ただこんなに気骨ある人がいたかと思うと、少し先入観も変わってきた。正に戦う外交官で、特に優柔不断な対中国外交に果たした足跡は誇らしく思えた。

ところで先日の高市発言を引き出したのが、立憲民主党の岡田議員である。不用意な誘導質問に、混乱の原因を作った違和感があった。本の中にその岡田さんが出て来た。

民主党時代に外務大臣として、楊外交部長とギクシャクした話である。日中の大局観が求められていたにも拘わらず、枝葉末節な餃子事件の話に終始し、ケミストリーが合わない唯一の政治家として紹介されていた。昔から少しずれていた人だったかも知れない。

一方、安倍・習近平会談を実現させた菅義偉を大きく評価していた。これは意外だったが、菅さんはやはり、黒子に徹すると力を発揮した政治家だったのだ。

Saturday, 20 December 2025

フィンランドの釣り目事件

先日フィンランドで、ミスフィンランドの「釣り目」動画が問題になった。アジア人への差別を助長したと、国会議員まで巻き込む騒動に発展した。結局彼女はタイトルを剥奪され、当事者が謝罪して収まった。でもミスが「何故謝らなくてはいけないの?」と言ったのは全くその通りである。

というのも、釣り目や切り目はむしろ西洋人に好まれているからである。いい例がパリコレなどで活躍した冨永愛やアンミカである。凡そ日本人離れした顔であるが、この手の顔が西洋ではモテるのである。確かに男が連れ歩くアジア系の女性はそれ系の人が多い。我々から見るとブスに見えても、エキゾチックに映るのである。

その反対もある。昔アメリカの女子テニスにリサ・ボンダーという選手がいた。テニスは左程強くなかったが、可愛らしい垂れ目が日本人好みで人気を博した。ただそれは日本だけの話で、本場アメリカでは左程話題にもならなかった。

韓国の女性が釣り目を気にして、二重瞼に整形をするのケースが多い。今回もそんな間違ったコンプレックスを持った人達のクレームなのか?と思ってしまった。

ともあれフィンランド人の祖先は、中央アジアを起源とするフン族である。エストニアもそうだが、どこか我々と血が繋がっている雰囲気がある。何よりフィンランド人は日本人に敬意を持っている。それは隣接する大国ロシアを破った唯一の国だからである。最近ではアニメの影響の方が大きいが、とても容姿を笑いものにする国民性ではない。

Tuesday, 16 December 2025

エプスタイン文書

 アメリカでは、エプスタイン文書が燻り続けている。英国のアンドリュー王子が称号を返上し、サマーズ元財務長官も学会から追放され、ビル・ゲイツは妻と離婚した。トランプ大統領は写真や卑猥なスケッチが明るみになったものの、依然関与を否定している。

それにしてもクリントン元大統領やイーロン・マスクなど、多くの有名人の名前が出ている。誰しも若い頃の脛に、一つや二つの傷を持つの仕方ないにしても、ここまで公になると後戻りできない。高名な人だけに、夜も眠れない日が続いているのではないだろうか。

ところで夜遊びから恐喝に発展するケースも多い。情事を肴にカネを要求する、所謂美人局(つつもたせ)である。そんな時にどう対処するか、フレデリック・フォーサイスの短編が参考になる。

タイトルは「Money with menaces(恐喝金)」である。英国の保険会社に勤める普通の男が夜遊びをした際に、写真を撮られてカネを要求される話である。彼は指定された場所に封筒を届けるのだが、それは空けると爆発する爆弾で、犯人は吹っ飛ばされるのであった。

最後に主人公は、元英国陸軍の爆発物処理部隊の伍長だったというオチが付いていて、謎が解けるのだった。中々真似出来る芸当ではないが、エプスタイン文書に登場する人なら、きっと同じような気持ちになるのだろう。

Friday, 12 December 2025

リガの鉄十字勲章

 「オデッサファイル」の続編にはガッカリさせられたが、折角なので50年前の原作を読み直してみた。これで3〜4回目になるだろうか?相変わらずの濃厚さに吸い込まれた。

冒頭にリガの収容所が出て来る。ラトビアの首都リガに行った時にはそんな形跡はなかった。それもそのはず、ソ連が迫った時に取り壊してしまった。当時のカイザーバルトと呼ばれる収容所のユダヤ人は、チェコのテレジン収容所から送られてきたと言う。テレジンには何年か前に行ったので土地勘が働いた。

テレジンはプラハの北方50㎞に作られ、更に辺鄙な場所に移送すための仮置き施設だった。半分町のような風景に、まだ戦争の初期だった事もあり、アウシュビッツのような最終処理場とは随分と趣きを異にしていた。

ラトビアの西にリアパーヤという港町もある。バルチック艦隊が出港した港として有名であるが、その郊外を走ると貨車がポツンと保存されていた。囚人を運んだ家畜用の貨車であった。ただでさえも寒々しい土地で、当時を彷彿とさせる迫力があった。今回もそんな光景を思い浮かべ小説と重ね合わせた。

オデッサはナチSSの逃亡組織、ファイルはその名簿である。戦後イスラエルのモサドの追求で、アイヒマンなど南米に逃れた残党の捕獲に繋がった。

ただ小説の主人公は同じドイツ人であった。彼は偶然手に入れたユダヤ人の遺稿から、軍人だった父親が、同じドイツ将校に殺害された事実を知るのであった。その意味で物語は親殺しの復讐であった。

決め手になったのが、柏葉と剣付の騎士鉄十字勲章であった。鉄十字の叙勲は30万人と多いが、柏葉に剣をあしらった勲章になると少なかった。殺された父親はそれを付けていた事で、死亡日から犯人を特定したのであった。

因みにこの受勲者は全部で159名、日本人で唯一の受勲したのが山本五十六だった。

Tuesday, 9 December 2025

オデッサファイルの続編

紀伊国屋に行くと、フレデリック・フォーサイスの新書があった。大ファンだけに「あれ?まだ出していたの」と期待も半分、何か腑に落ちない気持ちで買ってみた。タイトルは「Revenge of ODESSA」であった。前作の「The ODESSA file」から、かれこれ50年以上も経っていた。

主人公のMillerも孫に代わり、どんな展開になるかと思いきや、結局アクション物に毛が生えた普通の本だった。当のフォーサイスも今年の6月に亡くなっていて、著作は共著の作家が書いたのは明らかだった。前作はナチの名簿ファイルに辿り着く仕掛けが面白く、緊張感があっただけにガッカリした。

著名な作家の名前を借り、共著形式で続けるケースは多い。いい例がシドニー・シェルダンである。今出版されている半分はTilly Bagshaweという女流作家との共著である。彼の初期の作品から読み進んでいくと、途中からその共著に突き当たる。ただその落差は大きく、それに気付いてからは止めている。

若い頃に夢中で読んだクライブ・カッスラーもそうであった。海を舞台に難破船を探すシリーズはどれも素晴らしく、主人公のDirk Pittは憧れの人だった。ただいつの頃からか、色々な作家との共著に代わった。すると全く別物になったので止めてしまった。

日本ではあまりないケースかと思うが、欧米では何故か虎の威を借りた出版がまかり通っている。あまり上手く行っていない気がする。

Thursday, 4 December 2025

ヌルハチの骨壺

高市首相の台湾有事の発言で、中国が大きく反発している。台湾は中国の一部、その内政に口を出したのがいけなかったようだ。何か分かったような分からないような、ピンと来ないのが実感である。

習近平の台湾統一への執念はどこから来るのか? 個人的にはかねがね、故宮博物院ではないかと思っている。蒋介石が持ち去った60万点を超えるお宝である。北京にも博物館があるようだが、多分比べ物にならない規模だろう。

権威の象徴はお宝である。逆にお宝な無ければ権威は保てない。例えばそれは、フランスからルーブル美術館を、ロシアからエルミタージュ美術館を、英国から大英博物館を取ってしまう事を想像すれば、容易に理解できる。

お宝がない国は、権威の裏付けがないから不安定になる。今の中国は経済大国かも知れないが、その箔が欲しいのである。

余談だが、バルト三国には国立博物館なるものは一応あるが、ショーケースの中身は殆どないのに驚かされる。ソ連の時代に持って行かれたからである。権威の象徴がない国は心理的に弱く映る。ロシアをして、ウクライナに次いで又取りに行こうとする気にさせるのである。

インディ・ジョーンズの映画「魔宮の伝説」の冒頭に、ヌルハチの骨壺を取り合うシーンが出て来る。ヌルハチは清の初代皇帝である。そんな骨壺に命を賭ける中国マフィアを思い出した。