Saturday 28 May 2011

ジェノサイド

今週のBBCトップニュースは、元セルビア軍将軍Mladicが逮捕されたことだ。ボツニア・ヘスツェゴビナ内戦で8,000人のイスラム系を殺害した罪で手配されていたが、15年も潜伏していたらしい。容疑はジェノサイド(Genocide=集団虐殺)という。

ジェノサイドは組織的な民族・人種の抹消を指す。ナチスのユダヤ人虐殺だけかと思っていたが、ルワンダ、ウクライナなどあるらしい。戦後のソ連でも粛清と称して多くの命が奪われた。先日リトアニアの首都Vilniusで見たジェノサイド犠牲博物館は凄かった。元KGB本部(写真)の地下に戦後のドイツ協力者を収容した牢獄があり、拷問の様子が生生しい。圧巻だったのは処刑室。入り口で最後の本人確認手続きを済ませると、両脇を抱えられ部屋に連れて行かれる。入るとドアの後ろには小銃を持った執行官が待っていて直ちに射殺、補佐がバケツで血を流している間に、小さな窓から死体を1階に運び上げる、といった作業の繰り返しを、何とビデオを製作してその場で上映していた。犠牲者の声が聞こえてきそうで、流石背筋が凍りついた。


 ジェノサイドと並んで民族浄化(Ethnic cleansing)という用語があることも今回初めて知った。ひょっとしてボツニア・ヘルツェゴビナ内戦の残虐さはナチス以上だったかも知れない。モンテネグロ、セルビア、クロアチア……観光ばかり考えていたが、旧ユーゴスラビアが分離独立して出来た国々だ。きっと日本人には想像もできない民族の歴史があるのだろう。

1 comment:

Anonymous said...

ルワンダ内戦の話を書いた『生かされて。』というノンフィクションの本を、
サラエボ内戦を描いた『サラエボの花たち』という映画をいつか機会があったらご覧になってみてください。
いずれも女性の視点で書かれているものですが、本当に考えさせられる内容でした。