Friday 21 December 2012

リッツホテルとレジスタンス

パリの一番格式高いホテルと云えば、昔からリッツだ。バンドーム広場に位置し、周囲にカルテェ始め老舗のブティックが立ち並ぶ。中央には、ナポレオンがアウステルリッツで勝った時の大砲を溶かした鉄柱が建っている。


今読んでいるケン・フォレット著のムクドリ(原題「Jackdaws」)に、このホテルが出て来た。小説は1944年のノルマンジー上陸前夜、女性ばかりのレジスタンスが北フランスの電話センターを爆破する使命を帯び、英国から落下傘で侵入するというストーリーだ。落下場所を変え、シャルトルからパリに立ち寄りリッツホテルに泊まる。客は占領下ということもありドイツ人ばかり、電車の中でハラハラしている。

リッツホテル(仏語ではオテルリッツ)といえば、ヘミングウェイが従軍記者だった頃、まずパリに来て立ち寄ったのがこのホテルだった。以来ここのバーは彼の名前を冠している。あまり知られていないが、地下に立派なプールがある。大理石とコバルトブルーの空間は、まるで007に出て来るシーンだ。そしてホテルの壁面には1メートルの基準計がある。今で云うISO、これが世界標準の1メートルになった。

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