Thursday 14 February 2013

加藤寛さんを偲ぶ

先日、カトカンこと加藤寛さんが亡くなった。御年86歳だった。歯切れのいい論理でバッサリ切りながら、一方で温もりのある人柄は多くの人から慕われた。社会的には晩年税調で鳴らしたが、時事放談で細川隆元との対談は庶民的なところがあった。

加藤先生との思い出は、40年程前になるが野尻湖の合宿である。小さなクラブのOBだった先生は、20数名の学生の為にはるばる来てくれた。一緒に矢内原勝先生も来られた。お二人は同級生で、1番で卒業したのが故矢内原勝先生、東大総長の矢内原忠雄の御子息だ。加藤さんは2番だったと言っていたが、お2人はとても仲が良かった。

加藤先生は、その時ベニスとスレーターの「流動化社会(The Temporary Society)」という本が面白いと言って薦めてくれた。早速買って読んだが、当時の私はさっぱり分からなかった。今改めて斜め読みしてみると、それはアメリカの学者がソ連と中国の社会体制を称賛する本だった。時は1968年、ニクソンが大統領になった年で、アメリカがベトナムに足を突っ込み、自信を無くし始めた頃だった。「加藤さんもそんな本が面白かったんだ!」と、とても懐かしく思うのであった。ご冥福をお祈りしたい。

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