Sunday 21 August 2016

18区の黄金の滴

ゾラの「居酒屋」の舞台は、パリ18区のグテ・ドール街(Quartier de la Goutte d'Or)である。街の名前は”黄金の滴”・・・僅かなお金を分け合う意味だったのだろうか?近くには北駅やサクレクール寺院、そして蚤の市で有名なクリ二アンクールがある。パリに行くと必ず訪れる骨董市であるが、先日とある在日のフランス人と話していたら、「そんな危ない場所は絶対に行かない!」と言われた。確かに今では半分アラブ街だから、地元の人は寄り付かない気持ちも分かる。

何年か前だったか、ユーロが160円だった時があった。それも正月休みでホテル代は暴騰し、中々1万円以内で見付けるのに難儀した。その時泊まったのが、この地区だった。狭くてこれ以下ない黴臭い部屋で、こんな場所があったのかと改めて思った。でもこうしてゾラに触れると、その時の体験が蘇った。本当に何が災いするのか分からない。

フランスはどこのホテルに泊まろうが、シーツだけは清潔だ。それは、主人公の洗濯女が今でも頑張っているのかも知れない。小説では結婚祝いの日、バンドーム広場に出かけた。アウシュテルリッツの戦いで、ナポレオンが勝利し大砲を溶かした塔である。今では登れないが、当時は登れたようだ。

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