Friday 12 May 2017

ブルターニュ地方のカラス

今週、我が家の杉木にカラスの巣を発見した。見上げ上げるとハンガーを重ねた跡があり、何かゴソゴソしていた。早速保健所の人を呼び片付けてもらった。既にヒナが三匹孵っていたのには驚いたが、幸い親鳥の威嚇もなく、撤去は無事に終わった。何年か前に同じ場所に巣を見つけた事があった。その時は怖いもの知らずで木によじ登り、自分で巣を取り払った。頭上で二羽のカラスがカーカーと旋回していて、怖かった記憶がある。専門家によれば、カラスはふ化から卵が孵るまでは過敏だが、生れてしまうと注意が散漫になるらしい。

カラスは普段大人しく場合によっては人懐こい。だが繁殖期や群れを成すと怖いし、何より図体が大きく黒が気色悪い。その恐怖を煽ったのが、ヒッチコックの映画「鳥(原題:The Birds)」であった。

ヒッチコックの「鳥」は、昔の人なら大体知っている映画で、カラスが人間を襲うホラー版である。場所はてっきりアメリカと思っていたが、実は撮影はフランスのディナール(Dinard)という港町で行われた。随分前になるがそのロケ地を訪ねると、肩にカラスを乗せたヒッチコック像が建っていた。

ディナールはブルターニュ地方の小さな町で、湾を隔て観光地のサン・マロ(St.Malo)がある。サン・マロは今でも立派な要塞が残っている中世の港町である。近くには有名なモン・サン・ミッシェルもあり、百年戦争やアーサー王伝説の頃には英国人が闊歩していた面影満載の土地である。カラスの除去でそんなことを思い出した。

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