Tuesday 6 June 2017

陸奥爆沈

随分前だったか、広島の友人が「それだったら倉橋島はどうですか?」と言う。私の戦争跡地巡り好きを知って、教えてくれたスポットだ。呉に近い倉橋島には、山本五十六元帥の通った料亭が今でも残っているらしい。

対岸には戦艦陸奥の記念館もあるらしい。陸奥は昭和18年に謎の爆沈を遂げたが、今では沈んだ柱島近くに記念館が出来ているという。吉村昭著「陸奥爆沈」を読むと、その原因解明が中々面白かった。当時は三号爆弾による自然発火説が有力だった。そのため、海軍の全艦からその爆弾を下ろしたようだが、(とある映画で)ブインの飛行場に野晒しにされていた訳がやっと分かった。

陸奥の謎については、平素から万引きを重ねていた二等兵層の罪がバレ、追い込まれた挙句の内部犯行説を著者が追っている。知らなかったが、日本海海戦後の「三笠の爆発」も飲酒時による引火だったり、「巡洋艦日進の爆沈」も昇進を苦にした兵隊の怨恨の犯行だったらしい。意外と事件は人災によるもので、正に敵は内にあった。先を急いだ時代の付けが廻って来たのかも知れないが、ともあれ犯人を通して当時の風景が伝わってくる。一度訪れてみたい場所だ。

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