Sunday 20 August 2017

百万本のバラ


産経新聞のコラムに、加藤登紀子の歌「百万本のバラ」はラトビアが原産地だと書いてあった。調べてみると確かにそうで、早速Youtubeで聞いてみた。それはうら悲しいメロディーで、何やらロシアに占領されたラトビア人の心を歌にしたらしい。https://www.youtube.com/watch?v=vCwT8XZrgQ0
産経ロンドン支局の記者は、ラトビアを訪れた際に知ったというが、こういう記事が一番面白い。

ラトビアと言えば、今ではバルト三国の中でも特に無国籍者が多い国である。無国籍者は所謂パスポートを持たない人達である。ソ連の崩壊後、長年に渡り不法占拠していたロシア人は国を出て行かねばならなかった。ただ今更帰るに帰る場所もない人は残り、自動的に無国籍者になってしまった。それはラトビア国民の2割というから大変な数だ。その不安定な社会を反映してか、首都のリガは何か荒々しい感じがする。

ところでロシアを今の大国にしたのは、18世紀の皇帝ピュートル1世である。自らロンドンを視察し西洋化に努め、当時は何もなかったバルト海に近い土地にサンクト・ペテルブルグを作った。彼が死んでから、妻のエカチェリーナが皇帝を継いだ。彼女の生い立ちは波乱に富んでいて、今のラトビア(当時はリヴォニア)農家(一説には墓堀人)で育てられ、ロシアとスウェーデンの大北方戦争の時、そこを通ったロシア将校に拾われた。彼女はその後、将校の妾(お付)になっていたところをピュートル1世の目に留まり、秘密裏に結婚した経緯がある。昔、ラトビアからエストニアに向かう時、国境近くでその村を通ったことがあったが、今でも何もない寂しいところだった。この歌を聴きながら、そんなことを思い出した。

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