Wednesday 25 April 2018

ランブイエのボルガー氏

日経新聞に、ボルカールールの見直しが進んでいるという記事を見た。ボルカールールとは、先のリーマンショックの後に出た、レバレッジの高い商品に対する投資規制である。あれから10年、景気も回復してきたので、そのストレステストを簡略化したり、比率の軽減を進めているという。正に喉元過ぎればの感があるが、その繰り返しこそ人間の営みなのかも知れない。

ところでそのボルカーことポール・ボルカー(Paul Volcker)氏は、あのブレトンウッズ体制の終焉に立ち合った財務次官である。時代は1970年代、フランスのランブイエの森に各国の財務担当が集まって、金本位制の終焉を看取った。以降市場は変動相場制になり今に至っているが、ルールはその強い意志を継いで命名したようだ。その後彼は過度な金融引き締めを行い、オイルショックと相まって市場は高揚した。日本で云えば平成の鬼平と言われた三重野総裁のような人だった。日本経済も高度成長期の末期で潤ったが、その後の反動も大きかった。

ランブイエには日本からは稲村財務官が参加した。とても温厚な方だったが、暫く前に鬼籍の人になってしまった。それに対し、ボルカー氏は御年90歳とご健在のようだ。ランブイエはパリの南西に位置する広大な森である。ある時、その森の公園を散歩した事があった。秋だったか、栗の実が落ちていたので拾って歩いていた。ところが現地の人から、「それはマロニエの実だから、食べたら駄目だよ!」と言われて慌てて捨てた。マロニエとマロンは言葉も実の形も良く似ているが、全く別物だとその時初めて知った。そんな事も思い出した。

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