Wednesday 10 October 2018

同期の時代

先日、中途で入った会社仲間から、名前を呼び捨てにされた。さして親しくも無い奴だったので、「馴れ馴れしいね!」というと、「同期だから・・・」と釈明された。たまたま同じ時期に採用されただけなのに、何を勘違いしているのだろう?それ以来、その男は悪びれたように、さん付けで呼ぶようになった。

確かに、昔は大学を出て会社に入ると、XX年組と呼ばれる同期がいた。同じラインでスタートし、途中で出世に差が付いても、最後まで仲間である特別な関係である。考えてみれば終身雇用の成せる業だったが、同期なんて会社言葉があるのは、日本だけだと後で分かった。通年採用で転職が普通なら、確かにそうかも知れない。その言葉のルーツは、勿論あの海軍の兵学校である。この春に江田島の海軍兵学校を訪れ、改めて日本という国の成り立ちを実感した。

江田島の兵学校は1888年の開設というから、明治維新からたったの20年しか経っていない頃だった。当時の日本を囲む国際情勢がどんなにひっ迫していたか、富国強兵がどんなに急務だったか、現場に立つとよく分かる。行くと今でも立派な校舎が残っていて、海上自衛隊が管理していた。英国から高価な建築資材を輸入し、全国から優秀な集め、国を挙げて優秀な士官を育てた。今こうして日本国民が独立を守って平和に暮らしているのも、そんな先人が努力してくれたお蔭だ!、訪れた人なら誰でもそんな気持ちになってくる。卒業した同期の仲間は、仮に戦死しても家族の面倒を見ることが、暗黙の習わしだったという。一つの塊でないと生きて行けない、そんな時代だった。

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