ジェフリー・アーチャーの短編集に、「All's Fair in Love and War(恋と戦は道を選ばず)」がある。あらすじは、莫大な財産を相続した男と、彼に嫁いだ女性の話である。2人の関係は次第に疎遠になる中、男は出征する。残された妻はある男と知り合い子供を身籠る。その事を戦地の夫に何度か手紙を出して告解し、離婚を申し出るが、夫からは返事が来ない。そうこうしている内に、夫は戦死し、晴れて彼女は再婚し、夫の財産も正式に相続するという話である。結果良ければ全て良し、フェアーな愛であった。
読んでいて、昔読んだ「Summer of '42」を思い出した。やはり出征した夫を待つ若い女性の話である。こちらはアメリカが舞台だが、その若くて美しい女性に、近所の思春期の青年が恋をする。こちらも結局夫が戦死してしまうが、それを知った青年は彼女に迫る。ただ気が付くと彼女は引っ越し去って行く。若い頃読んだので、痛く感動した記憶があり、失恋したような切ない気持ちになった。
百田尚樹氏のベストセラー「永遠のゼロ」も、夫人は戦死した戦友の奥さんだった。孫が最後にその事を知るオチが、物語を骨太にしていた。ただでさえも、些細な事で結ばれたり分かれたりする男女の縁、それが戦争が間に入ると、運命的になっていく。現実だと深刻だが、小説になると深い味わいに変る。
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