Sunday 10 February 2019

アルコールに厳しい国

暑いオーストラリアで楽しみにしていたのは、冷たいビールだった。「イギリス風のパブで旨いエイルを飲みたい」、そう思っていたが、意外とパブが無い事に気が付いた。ブリスベンやシドニーのような大都市なら兎も角、地方の町にはそれらしき場所が中々見当たらない。そう言えば、ゴルフ場の入り口にも、必ず「アルコール類持ち込み禁止」の看板が掛かっている。中華料理の店でビールを頼んでも、「うちはアルコール販売の許可を取っていないのでありません」と無下に断られる。仕方がないのでスーパーに買いに行くが、アルコールの専門店にしか置いてないことが分かってきた。つまりオーストラリアは、酒にとても厳しい国のようだ。大柄の男達が浴びるように飲んでいるイメージがあっただけに拍子抜けした。

レストランの数も圧倒的に少ない。小さな町に行くと、夕方に空いているのは中国人の中華と中近東のケバブ、タイ人のタイ料理店位である。それもテイクアウトする人が多く、中で食べる人は少ない。その代わりに賑わっていたのは、町のゴルフ倶楽部や退役軍人のソルジャーズ倶楽部だった。誰でも入れるのでよく食事に使ったが、まるでカジノのような雰囲気でもあった。スロットマシンが並び、競馬やドックレースの掛け、モニターではクリケット、女子野球が放映されていた。機械の前には、「家族の事を考えて!」と注意書きが貼ってあるが、見ている限り、熱中している人は少ない。それにしても、1杯のビールで良く飽きずに過ごせるものだと感心する。

滞在中の1月26日はオーストラリア建国記念日(Australia Day)だった。テニスの全豪選手権で錦織選手や大阪なおみ選手が活躍していた頃だが、人々はあまりそちらに関心なく、その記念日を祝していた。その喜びようは半端でなかった。オーストラリアは豊かな天然資源を輸出し、車は作らず外国から買っている。1人当たりGDPも日本より遥かに高く、皆立派な家に住んでいる。オージーバーガーに代表される大味な国だが、倶楽部で集う人を見ていると、そんな豊かさに満足している様子が伝わって来るのであった。

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