Saturday 9 January 2021

ワシントンの議事堂占拠

昨日、ワシントンの議事堂が群衆に占拠された。煽ったのがトランプ大統領と聞いて驚いた。末期症状とはいえ、常軌を逸した前代未聞の出来事に、改めてドラルド・トランプの本質を見たような気がした。マスコミに対するフェークニュース攻撃など、今まで裏の裏を読んで好意的になった時もあったが、やはり彼自身がフェークだった。もうこれで終わりである。後は退任後に待ち受ける司法の裁きを待つ他ないだろう。今回の発端は選挙に負けたのに敗北宣言を出さなかった事だった。もっと早く敗北宣言を出しておけば、追い込まれる事もなく今回の混乱もなかっただろう。

そう思って日露戦争の本を読んでいたら、ポーツマス条約に辿り着いた。極東での一年半に渡る戦いが終わり、戦後処理をアメリカのルーズベルトが引き受けた仲裁である。日本からは小村寿太郎が参加、対するロシアからは財務大臣のウイッテが交渉に当たった。会議は事前から日本不利が予想された。戦いには勝ったが、モスクワを攻め落とした訳ではない。そのため、ロシアは敗北宣言を拒んで賠償金を支払わない構えを見せた。その予想通り、日本は樺太の一部と朝鮮半島の支配を譲られただけで一銭も取れなかった。怒ったのは国民である。20万人の死傷者と莫大な国家予算をつぎ込んだ挙句これだけか!しかし今から思えばロシアは局地戦の敗北に過ぎなかったのだ。敗北宣言は安易に出してはいけない!そんなアンチ教訓だった。

 ところでそのポーツマス(Portsmouth)だが、今までヴァージニア州にあるノーフォーク軍港の一角だと思っていた。2年前その軍港を訪れ、戦艦ウェスコンシンやマッカサー記念館を見た。きっとこの近くで調印されたのだろう?とその時は感慨深かった。ところが今回改めて調べてみたら、それは間違えでニューハンプシャー州のポーツマスだと分かった。どちらも港の入り口を意味するPortsmouthであった。小村寿太郎は着替えも持たずフロックコート一着で旅に出たと言うし、日本の暗号も解読されていたようだ。そんな事が書いてあった吉村昭の「ポーツマスの旗」を読み直してみたい気になってきた。

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